2級ボイラー技士です(ペーパーですが)。
自然界に存在するほとんどすべての水には硬度成分が含まれています。硬度成分とは、水の中に含まれるカルシウム成分やマグネシウム成分のことで、水が蒸発すると固体として後に残るものです。台所や洗面所をいつも濡れたままで使い続けたりすると、しだいに蛇口周りのメッキ部分などに白いものがこびり付いてきますが、その正体が硬度成分です。
また、自然界の水には、シリカなどの不溶性成分も含まれています。溶解性成分と不溶性成分を合わせた、水を蒸発させると残る物質のことを全蒸発残留物といいます。当然ながら、蒸気を液化させて製造した蒸留水には全蒸発残留物は含まれません。
さて、蒸気ボイラーは水道水などをボイラー内に給水し、それをバーナーで加熱し沸騰させ、蒸気を取り出すものです。この操作を繰り返すと、ボイラー内にはおのずと全蒸発残留物が溜まっていきます。全蒸発残留物は、ボイラーによって水が蒸気になるときに蒸気中へ移行しないので、ボイラー内で時間とともにどんどんと濃縮されていくのです。
濃縮が進みボイラー水の水質が悪くなると、ボイラーの底部にはスラッジ(かまどろ)と呼ばれる懸濁物が溜まり、ボイラー壁には硬度成分が結晶化したスケールが付着し、ボイラーの伝熱性能が低下したり、配管の詰まりが発生するなどのトラブルが起きます。ドロドロのガビガビになっていくという感じです。
濃縮が進んだボイラー水を排出し水質を維持することと、ボイラ底部に溜まるスラッジの排出を目的に、ボイラ底部からボイラー水の一部を排出されるのがブローです。この排出水をブロー水といい、排出することを「ブローする」といいます。下のほうにあるブロー用のコックをひねって、しばらくの間温水をピシューっと出してやります。
ブローの合間に別のことをやろうとしてブローしっぱなしにしてしまったりすると、水位が下がりボイラーが空焚きとなりとても危険な状態になります。なので、ブローの作業は危険が伴うものとして慎重に行わねばならないのです。