米国の思惑は大きく外れて結構長期戦になるのではないかと思います。何年何ヶ月という予想まではできません。戦局というものは動かないときは動きませんが、動きだすと速いものです。そのためには新たに集結、編成した部隊の投入が必要だからです。
米国は短期決戦を望んでいるようですが、長期戦にならざるを得ない理由は、戦争目的を政権打倒においていることが最大の理由です。首都を占領するためには時間が必要です。
部隊配置上の問題もあります。トルコ、サウジアラビア、イランからの侵攻は出来ません。クウェートから侵攻すればバクダッドまで長距離を進軍しなければならなくなります。この間、北方からは第101空挺師団しかいないという状況ですから、イラク軍の戦力を大きく分断することは困難と思われます。しかも兵站線は非常に長くなります。いくら米軍でもこれだけの距離を連続して部隊投入及び補給を継続することは難しいでしょう。後続の部隊の投入が散発的になれば各個撃破される可能性も高くなります。
時期的にも米軍の優位性が小さくなります。というのは気候が大変厳しくなるということです。あらゆるハイテク装備の能力が低下するでしょう。特に今日現在、月は満月から少し欠けただけです。先ほどクウェート国境で地上戦が始まりましたが、月出の前を狙ったものです。現地時刻で20時代の攻撃開始です。今日は21時半ぐらいですので月の出てない時刻に開始したのでしょうが、すぐに月が地上を照らしますから有利な時間は短いのです。次の新月は31日です。それまでには少しずつ月出の時刻は遅れて行きます。しかし気温は高くなりますし、砂嵐も厳しくなります。今日現在の戦闘はクウェート国境付近の戦闘ですが、ここを簡単に抜けないようであれば短期決戦は難しいでしょう。こんなところでの戦闘は米軍も本当はやりたくないと思います。さっさと敵陣を迂回するとか、残敵掃討を後続の部隊に任せて一刻も早くバクダッドに到着したいはずです。でも月が出てしまえば難しいでしょう。海兵隊の遠征群が先陣を組んでいるようですが、はたして十分な戦車を持っているでしょうか。陸軍でないので十分な数はないでしょう。まずはここでの戦闘が簡単に片付くかが短期か長期かの分かれ目でしょう。