元々、新聞の発行部数でリードしていたのは朝日新聞の方でした。
その状況に、読売新聞が、発行部数日本一を目指し、部数競争を仕掛け、朝日・読売の部数競争が始まりました。そして、その結果、読売新聞が朝日新聞を逆転した、という経緯があります。
ですので、紙面の思想的なところの前に部数競争、勧誘合戦の結果、という要素が強くあります。読売の方が、より、勧誘などを積極的に行った、という面があります。
それから、もう一つ。この「読売1000万部」「朝日800万部」「日経300万部」などの数字は、「公称」に過ぎない、というのがあります。「公称」であって、「実売数」ではない、ということです。
新聞の発行部数に関する問題として「押し紙」問題、というのがあります。
「押し紙」というのは、新聞社が各販売店に対して、必要な部数以上の新聞を買わせる(押しつける)というものです。
仮にAという販売店が1000件の家庭と契約をしていたとします。普通に考えれば、販売店は、新聞社から1000部の新聞を購入することになると思います。必要なものを、必要なだけ買う、というのは当然ですから。
ところが、新聞社は、販売店に対して、1300部買え、1500部買え、というような形で、不要な分まで売りつけているのです。もし、それを断れば、新聞を卸さない、というような形をとって。
これが「押し紙」というものです。当然、不要な分は販売されず、そのままゴミ処理場行きです。
現在、日本の新聞社は平均で3割~4割程度、地域によっては5割以上が「押し紙」である、と言われています。仮に、読売の4割、朝日の3割が「押し紙」であるとすると、600万部と560万部が実売数となります。もし、朝日新聞が実売数を全く増やせなくとも、もう200万部、全国の販売店に対して「押し紙」を行えば読売新聞に並びます。
公称発行部数というのは、あくまでも「自称」の数字であり実売数ではないのです。そして、この発行部数の背景には「押し紙」という大きな問題があります(この契約を巡って、裁判もしばしば起きています)
このような事情を考えると、思想的なものよりも、販売戦略と、公称発行部数というものの仕掛けによるところがある、と見るべきだと思います。