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申告漏れや所得隠しの報道について。
企業が多額の申告漏れや所得隠しを指摘されて報道されるケースが時々ありますが、東京に本社がある企業の場合は、大企業なら全国的に報道されることが多いですが、大企業による申告漏れや所得隠しであっても、行った企業の本社が東京以外(大阪や京都、名古屋など)にある場合は、申告漏れなどのテレビなどのニュースでの報道が、それぞれの地域のローカルニュースでの報道で済まされているような気がするのですが……。 この報じ方の違いには、一体、どんな事情があると思われますか?
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京都に本社をおくワコールも大阪の日本ハムも、過去に申告漏れを指摘された事があったのですね。 勉強不足でしたが、調べてみると確かに追徴課税の処分を受けたようです。 ただ、一見すると、社会的影響力の大きい一部上場企業が 「悪質な税金逃れ」 を行なったようなイメージを持たれる可能性が高いと思われますが、両社の説明ではやはり 「国税局との見解の相違」 を主張しており、社会的に強いバッシングを受けるべき事案なのかどうか難しいと思います。 ワコールでは海外にある子会社との取引に関して、また日本ハムでは申告をすべき時期に関して国税局から 「不適切」 と決め付けられた事が大きな原因のようです。 企業側の味方をするつもりはありませんし、両事案の内容を熟知しているわけではありませんが、おそらく両社の経理担当者としては 「きちんと税理士なり会計士と確認をしながら処理しているのに、それを一方的に不適切と断定するのは納得できない!」 と考えているように思われます。 特に海外との取引のケースでは税法が頻繁に変更されます。 極端なケースで去年まではOKだったのに、今年はいきなり所得隠しとして断罪されるという事も中にはあると思われます。 無論、国税当局による最新の税法変更に関する説明会も各地で開かれており、これを見逃した、あるいは確認不足をおこした企業側のミスにも責任の一端はあるのは間違いありません。 このように大企業による申告漏れがあった場合ですが、申告漏れと言うより 「脱税」 で、またその内容が極めて悪質で社会的悪影響が大きいと判断される場合には、本社所在地がどこであろうとメディアは全国レベルで大きく取り上げるはずです。 従って、ご指摘のワコールと日本ハムのケースでは申告漏れの内容が単なる 「国税局との見解の相違」 と考えられ、しかも当局の指導に従って既に追徴課税を納付しており、これ以上の事件性は無いと判断されたと考えられます。 数年前の雪印や不二家のような食品偽装事件とは根本的に異なるわけです。 それと同じ事件をメディアのどの部署が担当するかですが、本来は経済面で扱うのが相応しいですが、社会的な影響が大きい、あるいは事件性が高いと判断された場合には社会面や政治面に跨って扱われます。 例えば、今、話題になっている西松建設の事件でも政治、経済、社会と、それぞれの切り口から全ての分野に跨って報道されています。
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本社所在地による違いではなく、その企業が持つ 「社会的影響力」 の違いで区別しているように思います。 例えば、あの世界に冠たるトヨタ自動車ですが、本社は愛知県豊田市です。 一応、東京にも東京本社という組織を置いていますが、実質の本社機能は愛知県に集約させていると考えられます。 http://www.toyota.co.jp/jp/about_toyota/outline/index.html このトヨタでも3年前に約60億円の申告漏れを国税局に指摘され、約20億円の追徴課税が課せられたというニュースが全国レベルで報道された事があります。 http://www.yomiuri.co.jp/atcars/news/20061231ve01.htm 一方、本社を地方都市におく企業の場合は、その地域との密接度が濃く、たとえ小額の申告漏れでも地域への影響力が大きいと判断して大々的に報道されるように思われます。 逆に東京に本社機能を置いている上場企業でも、事案の規模が極めて小さく全国ニュースとして取り上げるようなレベルではない場合には、地方都市の地元紙では扱わないか、または隅に小さく事実の紹介だけをするケースが多いようです。 従って回答としては、「申告漏れを行なった企業の本社所在地で区別しているのではなく、社会的影響力の大きさで区別されている」 という事になると思います。 余談ですが、このように大企業の申告漏れの事件がよく報道されますが、そのほとんどは 「国税局との見解の相違」 に起因しているように感じられます。 実際に税務調査に立ち会ってみると分かりますが、調査官の個人的見解で適切な税務処理をしているか否かが判断されるケースが本当に多いです。 特に1部上場企業の場合は経験のある税理士を何人も抱えており、よく精査して決算報告を行なっていますし、もし申告漏れや脱税の行為が明るみになった時の社会的影響力を考えると、些細な誤魔化しなどをする筈が無いと考えるべきと思います。 先のトヨタの例でも、売上げ規模を考えると、60億という小さな額の誤魔化しなど意図的に画策するわけがありません。 トヨタとすれば20億という 「はした金」 を国税局にくれてやれば問題は解決するし、逆に不服申し立てをして裁判にでもなれば企業イメージが悪化すると判断したと考えられます。 どの企業もそうですが、合法的な節税はするが脱税はしないという事だと思います。 その節税と脱税の分岐点が調査官によって異なるわけです。 またどちらとも考えられるような税法上のグレーゾーンも結構多くてトラブルになる場合もあります。 このような国税局による一方的なケースが意外に多いですが、メディアに事実が紹介される事はありません。
補足
早速の御回答をどうもありがとうございます。 なるほど、企業の本社所在地ではなく、それぞれの企業の社会的影響力に左右されるんですね。 私が見てきた限りでは、以前、ワコールや日本ハムなど、関西地区に本社を構える企業が、所得隠しを指摘されたことがあったんですが、ニュースでの扱いが、関西ローカルニュースだけだったことが、何となく腑に落ちなかったもので……。どちらも、全国に名の通った大企業なのに、という思いがありました。 でも、大企業といえども、これらの企業は、トヨタなどと比べますと、社会的影響力が小さい、ということで間違いないでしょうか? それから、税務調査って、結構、国税調査官の個人的見解にも左右されやすいみたいですね。よく、申告漏れや所得隠しの報道では、「国税当局と見解の相違があったが……」というコメントがよく為されますが、私は、ずっと、「言い訳のコメントとして用意してるな」としか考えてなかったんですが、御回答によりますと、案外、事実みたいですね。 あと、補足の質問となりますが、申告漏れなどの報道は、経済部ではなく、社会部の管轄となるんでしょうか?新聞記事では、いつも、社会面に載っているような気がしますので。
お礼
返信が少し遅くなり、申し訳ございません。 愚問に対して、繰り返し丁寧に御返答を頂き、ありがとうございます。 やはり、マスコミにとっては、それぞれの事案に、「全国ニュースにするほどの事件性があるか」が重要なんですね。 そういえば、ずっと以前に、プロ野球選手の脱税事件が発覚しましたが、この場合は、所属球団がどこに本拠地を構えるかに関わらず、全国的に大々的に報じられましたね。 要は、やはり、社会的影響力の大小ということなんですね。 本当に、色々な御教示を頂き、ありがとうございます。