自分が助かることを前提には誰も動けないことになります。
質問者さんもご指摘の通り、多少の犠牲が出るためです。
つまり、その多少の犠牲に自分がなる可能性があるのです。
また、他の乗客が呼応してくれなかったら、無駄死にです。
さらに、"刃物を持った人間"を前にしてきちんと動くには
訓練が要ります。警官や軍人のように訓練を受けていない限り、
そういう場合に"何をしたら良いのか?"を考え付く人間もやはり少数でしょう。
このように「自分が助かるため」には「動かない理由」が
いくらでもあります。
ただし、これだと自分勝手な人間になってしまいますよね?
例外的に存在する"正義感の強い人間"にはそのような
社会批判に耐えられない、ということもままあります。
そこで多くのハイジャック犯は、刃物だけではなく
「爆弾を持っている(仕掛けている)」という情報を乗客に与えます。
何故わざわざこんなことをしているのかと言うと、
乗客には動かなかったことに対して後になって
言い訳が出来る合理的な"理由"が必要となるのです。
「多少の犠牲を覚悟して犯人を抑えに行ったら爆発で
他人を巻き込む可能性があった。」後でこう証言すれば、
"正義感の強い人間"の体裁は保たれるのです。
このようにして、情報を共有していない乗客の間では
「非協力ゲーム」が成立し、均衡が生じます。
制度が無い人間集団は同じ行動を取れないのです。
自分の利得(この場合は生命の保全です)を追求する前提では
誰も動けなくなるのです。彼らを薄情と非難するのは少々的外れで、
これは人間・生物として当たり前の心理です。
その上での対策としては、こういう状況に対する知識を事前に持つことです。
訓練を受けた人が居れば、率先して動く(犠牲になる)パレート効率
という方法でも解決することができるのですが、
ハイジャック発生時にはこう動く、という基準を決めて
乗客全員が把握していれば「暗黙の了解」が生じて
統一行動が取れるようになります。
残念ながら、こういった知識は未だ共有されていないのではないでしょうか?
お礼
経験者って・・・ハイジャックに遭ったことがおありでしょうか?確かに僕が行動したとしても無駄死になる可能性はありますね。 回答ありがとうございます。