生活保護110番より引用
■働ける人には働いてもらう
働かざるもの食うべからず、ではありません。働ける人は働いてもらう、です。病気や高齢が原因で働けない人にまで、「働くこと」を条件にすることはありません。
ただ、「働ける」という判断が微妙な例もあります。たとえば、軽度のうつ病や生まれたばかりの子供をかかえた母子家庭のお母さんなど。60歳を超えてリストラされた人が新しい仕事を見つけるのも容易なことではありません。こういった微妙な判断は一律的に決められるものではなく、個別に生活状況等をうかがいながら福祉事務所が判断していきます。
なお、「専業主婦で今まで働いたことがないから、仕事は無理」「今は無名だけど将来は高名なアーティストになる予定」といった理由では、保護の適用は認められません。あくまで、身体状況や生活状況、社会情勢等により、客観的にやむを得ないと認められる場合に限られます。
■ 資産価値のあるものは処分してもらう
有名なのは自家用車ですが、保有はまず認められません。また、生命保険についても、原則として解約する必要があります。ただし、いずれも例外がありますから、かならず事前に相談してみてください。
持家はローンが残っているときは処分する必要があります。すでにローン返済が終わっている場合には、資産価値を見ながら相談していくことになります。
パソコンの保有については明確な指標(厚生労働省からの通知など)がなく、福祉事務所が個別的に判断しているのが現状です。
なお、手持金や預貯金は、合計で数万円程度しか保有は認められません。これ以上の手持金がある時は、生活費等に消費してから申請を受け付けることになります。
■援助できる身内がいればその人に援助を求めてもらう
三親等内の親族には扶養義務が発生します。通常は、「親兄弟子供」が扶養の範囲に入ると考えてください。
「あの人に援助してもらうのは嫌だ」というのは認められません。「別れた旦那に頭を下げてまで、養育費なんてもらいたくない」といった気持ちも、個人としては理解できなくもありません。ただ、法律に基づいて保護を決定する以上、きちんと手続きを踏まなければならないのも事実。よく考えて、どうするのかを決めてください。
生活保護の申請後、通常は扶養義務者に「扶養照会」と呼ばれる手紙が送付されます。対象となる人には、かならず事前に連絡するようにしてください。いきなり福祉事務所から書類が送られてくると、普通の人は驚きます。
■ 利用できる制度があれば利用してもらう
「他法他施策の原則」と呼ばれています。高齢者なら年金や介護保険、母子家庭なら児童扶養手当・児童手当、失業中なら失業保険など。どんな制度が対象になるのかは、生活保護の相談にいくと教えてくれます。
■ できること、やるべきことはすべてやった
できることはすべてやったけど、生活の目処が立たない。上記に述べたようなことも、全部やった。そう思って福祉事務所に行っても、厳しいチェックが入り、「そんなことまで」と思われるかもしれません。
生活保護は他の行政サービスとは異なり、適用の条件が生活の全般に渡り、かなりプライバシーに踏み込んだ形でインテーク(初回の面接のこと)が行われます。問題をきちんと整理し、「なにが問題となっているのか」を、きちんと相談担当者に伝えるようにしてください。