> 環境に及ばす悪影響がわかりません!!
されば、あえて悪いところだけいくつか申し上げましょう。ただし、エアコン(クーラー)も、本来はヒートポンプの一種なのですが、おそらく質問の趣旨には入っていないと思うので、ここではヒートポンプエアコンの暖房に限定します。
○ヒートポンプは寒いときほど効きが悪い
ヒートポンプはその特性上、外気温度が低いほど暖房能力が下がります。そのため、寒ければ寒いほどエアコンのパワーを部屋が暖まらず、エネルギーを使うという悪循環があって、厳寒地には向きません。昔のヒートポンプエアコンの場合、電気ヒーターが追加されていたりしたもんで、その場合にはエネルギー効率が悪化します。
○ヒートポンプがエネルギー効率がいい、というのは、いくつかの条件のもと。
たとえば、今手元に資料が無いのですが、暖房時の成績係数(COP)というのは室温が18℃くらい、外気温度が5℃くらいのときで、100%近い負荷の場合だったと思います。で、ここが曲者なんですが、外気温度が下がるか、室温を上げるか、あるいは小さな熱負荷で運転する場合などは、カタログどおりのCOPでは運転できません。ありていに言うと、条件によっては石油ファンヒーターなどのほうが、一次エネルギーの消費量は少なくなることがあるのです。
実際のところ季節にもよりますが、関東以南ではヒートポンプエアコンのほうがいいといわれていますが、東北以北では怪しく、北海道ではほとんど逆転するとさえ言われます。
○電気式ヒートポンプの環境性能は、発電効率に依存している。
ヒートポンプのCOPが3くらいでも、発電効率次第で環境の性能は上下します。たとえば、原子力発電所が止められてしまって、解体寸前の発電所を無理やり動かすような場合、発電効率が30%を切ってしまうようなことになればかえって石油ストーブのほうがエネルギー消費を抑えられたりする場合があります。ヒートポンプの優位性は、発電効率により支えられている側面もあるのです。
○デフロスト(除霜)運転の問題
ヒートポンプでは、室外機が冷えるために霜がついてしまうので、ときどきそれを暖めて溶かす運転をしています。(デフロスト運転といいます。)これには一定のエネルギーが必要なことと、その間、暖房がストップしてしまうことが問題で、じつは、湿度の高いところでは少々不向きな側面もあるのです。
○加湿の問題
一般に、ヒートポンプ暖房は室内が乾燥します。ですので、加湿器を併用している人も少なくないですね。ですが、実はこのエネルギーも案外馬鹿に出来ません。加湿をしすぎると、それだけでヒートポンプの導入効果が吹っ飛んでしまう場合もあります。ちなみに、煙突の無い石油ファンヒーターなどでは温風に燃料由来の湿気がたっぷり入っているので、まず加湿器は必要ありません。逆に、それだけ湿気が高くなりすぎることもありますが。
○温まる速さ
実は前項の加湿の問題にも絡むのですが、私の使用感としても、ファンヒーターは温まるのが早いです。また、同じ温度でも暖かさが体感的に違います。これは、温風に含まれる湿気のせいだといわれていますが、体感的に寒いと、ヒートポンプは温度をもっと上げて使用するわけで、運用面では案外エネルギーを使ってしまうということも言われています。
○非常時
非常時、エアコンはまったく役に立ちません。昔ながらのストーブは、せいぜい乾電池で着火できるのでここは大きな違いです。なお、石油ファンヒーターも、電力は使いますが、消費量がけた違いなので家庭用の発電機があれば動かせます。
以上、つらつらとかいてきましたが、要するに、条件次第ということです。
私も熱の専門家として、これまでヒートポンプの扱いは不当に小さかったと思うのですが、最近は逆に過大な期待をもたれていて、それもあまり正確な知識に基づいているともいえない状況です。中には石油ファンヒーターを売らない家電量販店も出てくる始末です。(電気ストーブのほうがよっぽど販売しないほうがいいんですけどね。)
ヒートポンプはかなり奥が深いんですが、そんなこともあるということを頭に入れておいてください。
お礼
くわしくて、わかりやすい回答をありがとうございますっ(><)