以下,条文はすべて民法である。
一 Bが,自分が未成年ではない旨を信じさせるため詐術を用いた場合,その行為は取り消すことができない(民法21条)。
二 法定代理人たる母親(818条1項,824条,120条)が,本件ボードの売買契約を取消し(5条1項・2項)した場合
1 スノーボードの返還請求
取消しの効果:121条
→Bには所有権に基づく返還請求権あり。
しかし,スノーボードはAの友人(:Cとする。)に転売
(1)スノーボードは動産であり,Cが取消原因事実(Aが親権者の同意なく購入したこと)について善意無過失である場合には,Cが即時取得(192条)。
→Bは,Cに対し,所有権に基づく返還請求をすることができない。
(2)友人が悪意又は善意有過失である場合には,Cは即時取得しない。
→Bは,Cに対し,所有権に基づく返還請求をすることができる。
ただし,母が,AとCとの売買契約をも取り消した場合,母はCからボードを取り戻すことができる。(ただし,Cも未成年で,ボードの全部又は一部を滅失・転売している場合は,取り戻せない場合がある。)
(※15万円は,「夏休みの旅行」のために旅行代理店に使ってしまったため,「現に利益を受けて」おらず,Cに返金する必要はない(121条ただし書)。)
母がボードを取り戻せれば,Bは,母に対し,ボードの返還請求ができる。
2 Bがスノーボードを取り戻せなかった場合
Bは,売買契約取消しに伴い,クレジット会社に返金する債務を負う(:売買契約の取り消しに伴い,クレジット契約も取り消されると考えた。)にもかかわらず,ボードの返品を受けられないという損失あり。(※仮に,売買契約の取消しにかかわらずクレジット契約が取り消されないと考えた場合,母は,703条(類推)適用に基づきBに不当利得返還請求を行うことができると考える。)
→Aに対し,不法行為(709条)に基づく損害賠償請求
母に対しても,その監督義務(民法820条)を怠ったことによるBの損害について不法行為(709条)に基づく損害賠償請求
※Aは,責任能力は十分あると思われ,712条及び714条の適用は問題にならないと考えられる。
お礼
大変わかりやすいご返答どうもありがとうございました。