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会社が運営する事業の一部を役員が買い取るには?

現在会社Aが運営している事業の一部を会社Aの役員が買い取ろうとしています。 法律、税務関係を含め下記記載の事が可能かどうか、また一番スムーズに買収(譲渡)できるアイデアをいただけないでしょうか? 1.この役員は役員を辞めてもいい覚悟で部門を取得し、個人もしくは新規会社を立ち上げて運営しようと考えています。 2.役員は会社に対して貸付金があり、事業の購入代金の一部に当てようとしています(相殺)。会社Aの株も保有していますが売買も可能です。 3.会社Aはこの役員の行為を了承しており、むしろ応援する気でいます。 4.会社Aは現在赤字経営で解散する可能性もありますが、唯一の黒字部門が買収(譲渡)対象です。しかし、この部門は定款には記載していますが本業と関連性は一切ありません。 少し専門的な事になりますがどうぞご回答いただけたらと思います。

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  • 17891917
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回答No.1

 自分は,司法試験の勉強をしている者にすぎないので,実務はほとんど分かりません。  ここでは,会社法に関する関係条文の指摘のみさせていただきます。 1 まず,本件事業の一部の譲渡は,467条1項2号の事業の重要な一部の譲渡」になると考えられますので,309条2項11号より,A会社株主総会の特別決議が必要です。 2 本件譲渡は,同時に競業開始又は利益相反取引にあたると思われますので,役員が取締役であるとすれば,356条1項1号・2号により,株主総会(:取締役会設置会社でない場合)又は取締役会(365条:取締役会設置会社である場合)の承認を受ける必要があります。 ※事業譲渡にあたり,譲受人が役員であれ,会社に対して有する貸付金債権を自働債権とする相殺をすること自体を禁ずる条文は有りません。 ただし,相殺する旨は,株主総会で説明しておかなければならないでしょう。  役員が必要な承認を受けたとしても,本件譲渡により会社に損害が生じた場合には,423条3項1号により,役員は,会社に対して損害賠償責任を負います。  また,承認に関与した取締役は423条3項2・3号により,同様に責任を問われます。  さらに本件譲渡を知りつつなんらの措置を講じなかった監査役も,責任を問われるでしょう。  会社が責任を問わない場合,株主は847条により株主代表訴訟を起こすことができます。 3 「会社Aは現在赤字経営で解散する可能性もあり,唯一の黒字部門が買収(譲渡)対象である」というのですから,本件譲渡が原因で立ち行かなくなり,債務の履行も困難になったとすれば,429条1項により,事業譲渡を受ける役員や他の取締役・監査役などは,債務者に対して損害賠償責任を負うことになると思います(解散の危険を認識しながら黒字部門を事業譲渡することは,429条1項の「悪意又は重大な過失」があることは明らかであるからです。  「この部門は定款には記載しているが本業と関連性は一切ない」ということは,責任を回避する理由にはならないと思います。 4 以上のことからみて,会社の継続を前提とした本件事業譲渡は,役員や他の取締役等に大きな負担を負わせると思います。  会社が立ち行かなくなることが明らかなことを前提として役員を「応援する気でいる」のならば,いっそのこと,譲渡の前に解散・清算をすればよいのではないでしょうか?  すなわち,清算にあたり債権者に債務の履行をしなければならないのですから,役員への債務の履行として,事業を譲渡し,残余財産を株主に分配すればよいのではないかと思ってしまいます。  以上,実務を知らない上,質問者の会社Aの規模や株式の保有状況等が分からないため,大したアドバイスができなくて申し訳ありません。