児童虐待ではなく高齢者虐待の問題にかかわっている立場から感じていることを回答します。
福祉の面から虐待について考えると、命の危険が考えられる場合には、まずは当事者を引き離す(児童でいえば子どもを施設等に入所させる)ことを行います。その引き離しの際に、引き離したいのにできない状況にある場合に、警察に対して支援を求めることができます。引き離してそれで「とりあえず」何とかなる状況であれば、虐待で検挙されるところまではいかないということになります。
虐待をしている方の経済的な問題や精神的な問題、いろいろな抱えている問題が、一番弱い者へ行ってしまう傾向にあるため、本人だけを支援するのではなく、虐待をしている方に対しても何らかの支援をしなければならない、と虐待の業務にかかわっている立場からは考えています。
虐待は犯罪とはもちろん認識をしているのではありますが、その起こしてしまう原因を、解決まではいかないにしても、和らげることができれば、虐待まではいかないのかな、と思っています。考え方が甘いのかもしれません(もちろん、いろいろな問題が生じていないのに虐待をする人も中にはいます)が、何事もすべて犯罪に結び付けたくない、と日々感じながら業務に当たっています。
児童や高齢者の分野を中心に、虐待防止法ができ、犯罪として検挙される最悪な状況になる前に、打てる手を少しでも打っていく、そういった考え方が検挙数にも影響が出ているかもしれません。
お礼
回答ありがとうございます。 実際に虐待問題にかかわっている方ということで、とても参考になりました。 虐待をしている方に対して、一方的に悪い面しか見ずにすぐに「なぜ検挙されないのか???」と胆略的に考えようとしていたことを自覚し、反省させられました。 検挙数が増えないことについての回答についても納得しました。 社会に必要なのは、「虐待をしている人を懲らしめること」ではなく、「虐待の防止、軽減」、もっといえば、「子どもが安全な状態でいられること」だということなんですよね…。 目的を見誤ってしまったから、つじつまが合わないと思ってしまったようです。 私のイメージでは、まだまだ警察などでは懲らしめることに重点を置いてしまっていると思っていたので、子供の安全を目的においた対策が取られていることに、正直驚きました。 いろいろと、勉強になりました。 ありがとうございました。