意図的に「石の音」を乗せたい、またはフローリングといってもきわめて軟弱である、というのでなければ、あまり良い結果は生まれないように思います。
第1に、けっきょくスピーカーの振動を受け止めるのは床を含む建物全体なので、数kgの石の板があってもなくても差は生じないと考えられます。
第2に、一般的にいって石は内部損失が低いので、むしろエンクロージャーの共振を誘うと思われます。単純にいって、石をハンマーで叩くと手に衝撃が戻ってきます。これは、衝撃を熱に変えてなくすることが期待できないということです。
第3に、石を叩いたときは甲高い音が出ますが、これは衝撃のエネルギーが高い周波数の音に変換されたことを意味します。したがって、これが再生音に乗り、耳障りで不快な響きを生みます。コンサートホールの床が大理石ではなく木になっていることを考えても、足下に石を置くのは適当とは考えられません(アマチュアプレーヤーの端くれとしていうなら、石の床の上で演奏するのは響きが気持ち悪くてかなり演奏しづらいです)。
他方、畳やカーペットなど、安定せず、しかも高音が不足しがちな環境であれば、足下を固め、高音を補う意味で、石のアンダーボードも意味がないわけではありません。
しかし、フローリングの部屋の場合、むしろ中高音の反射は豊富なので、石のアンダーボードは不適当と考えられます。もっとも、足の幅を広げることは、重心を下げてエンクロージャーの振動を防ぐ意味がありますから、アンダーボードがまったく無意味というわけではないでしょう。したがって、桜集成材などの響きが良くある程度強度のある木のボードを導入するのが良いでしょう。いわゆるオーディオボードは安くても数万円するものが多いですが、桜集成材なら1枚3,000~5,000円程度で手に入ります。カシュー塗料かオイルステイン、面倒であればウレタン系でも良いので、塗装をしておくとソリも少なく見た目も美しく仕上がりますから、お勧めします。