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書籍を執筆する経緯に関して
大学生の身として、お聞きしたいことがあります。 大学の教授や助教授のキャリアを拝見していると、ほぼ全員が何らかの著書、訳書を持っています。 しかし私には、「なぜこの人がこの本を出そうと思ったのか」と、疑問に思うことがしばしばあります。まぁそういったことは個人の都合にも関係するので一概には言えないと思いますが、ではそもそもこのような「本を出す」ということは、一体誰がどのように依頼することで起きるのでしょうか。 出版社の方が目を付けて連絡するのでしょうか。だとしたら、どのような経緯においてそういったアクションが起こりうるのでしょうか。 小説などの場合は賞の受賞などからそういった話に繋がることが想像出来ますが、技術書や分野の参考書などは、正直想像できません。 もし適切と思える意見をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ご回答願います。 尚この場合、自費出版は含まないものとしてお願いします。
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研究者の場合で言うと。 よくあるきっかけは、自分や先生、先輩の所属する学会や研究団体の企画モノの分担執筆からです。ある程度の規模の学会ですと、出版社とのコネを持つ先生が(多数)います。その方が音頭を取って、学会として企画出版をすることがあり、そこに執筆者として加えてもらいます。 出版社としても学会の企画モノの場合、ある程度の冊数の販売が見込めます。執筆者の方も自分の業績になり、学会にも貢献することになるので無料で奉仕します。つまりかなり安いコストで本が完成し、出版社としても損はしない程度に売れるので、持ちつ持たれつの関係で出来上がります。 また、その分野の専門書を出版している出版社に話を持ちかけることもよくあります。つまり「売り込み」ですね。文系の場合、本の出版自体が学位取得の条件になっている場合もあります。そうした専門出版社の場合、研究者との良好な関係を保つことは必須ですから、もうけにはならないと思っても出版に力を貸してくれることが普通です。 ただ、どうも損はしないようです。話を持ちかけると、検討した上で「こういう条件なら、出版を引き受けます」という回答が戻ってきます。例えば ・原稿料○万円で、初版については印税なし ・印税○%、初版○○部を著者買い取り(たいてい、初版の印税と同額程度、つまり実質ただ働き) その他に、図表の数の制限だとか、色刷りは無しとか、○ページ以内に収めて欲しい、先生の大学の書籍部に○部以上置かせて欲しい等々、です。 要するに、著者としての収入には全くならず、逆に持ち出しになる場合も多いのですが、お互い専門書の出版とはそういうものだ、と考えていますので納得できるのです。 ただし、これは、単に「自分の業績」という話ではなく、「研究成果を世に問いたい」とか「文化としての出版活動」等の金銭では無い動機に、著者も出版社も支えられているからできることなのです。 研究者側も恩義を感じますから、その出版社の企画にはなるべく安い原稿料で協力する、書評を積極的に書く、企画モノである程度部数が見込める本の出版を持ちかけるなどします。そうした関係が連綿と先生から弟子に受け継がれていっているのです。
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- isoworld
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私自身は大学の教授や助教授ではありません(非常勤講師をしていたことはあります)が、やや技術寄りの書籍を過去に出版社(3社)から合計6冊出したことがあります。 その経験から言えば、概ねANo.1さんが回答されたように、自分の仕事(研究)の分野で業績を上げ、専門誌や学会誌などに記事や報告を頻繁に掲載しているうちに名前と業績が認められるようになり、やがて出版社から(そのような分野での出版企画が持ち上がれば)執筆依頼の声がかかるようになります。 もともと知名度・著名度が高ければ(あるいは出版実績が多ければ)、出版社に自分から声をかけても出版できる可能性はあります。しかし出版社もビジネスで本を出して売るわけですから、幾ら売り込んでもビジネスにつながりそうになければ、よい返事はもらえません。 そういうことで、その分野で実績を上げ出版社に知られるようになることが大事です。出版社がする出版企画にうまく合えば、執筆依頼が着ます。 そして実は非常に重要なことは、常日ごろから幾つかの出版社と密なる付き合いを欠かさないことです。これがもっとも重要な決め手です。
お礼
なるほど、やはりコネクションが重要なのですね。確かに、一度企業で働いていた教授よりも、ずっと大学内にいて研究を積み、順当に教授になった方の方が、著書の数は多いような気もします。 まぁ大学から声がかかる方は出版社からも声がかかるでしょうし、たまたまかもしれませんが。 分かりやすい回答をありがとうございます。
お礼
なるほど、やはり執筆という1つの作業が研究者の業績になる、という意味合いで相互の利害が一致することが多いのですね。 参考になりました。大変分かりやすい回答をありがとうございます。