<感動>
クイールが亡くなるシーンは泣けましたが、渡辺さんという視覚障害者の方が、クイールとパートナーになり、盲導犬に対する考え方が変化していくところにも非常に感じる部分がありました。
最初、渡辺さんは「犬に牽かれるくらいなら死んだ方がましだ」とか「犬はいらん」と言っていたのですが、クイールと出会い、パートナーになっていくうちに「一緒にいるだけで気持ちを明るくしてくれる。友達なんですね」「盲導犬がこんなに素晴らしいパートナーだとは思わなかった」と認識を改めていきます。
そして渡辺さんが重い病気で三年も入院し、クイールとは会えなくなったのだけど、渡辺さんは自らの死期を悟ったのか、渡辺さんが亡くなる一週間前にクイールに会い最後の散歩をします。そのシーンでは、泣けました。
あれほど最初は盲導犬を嫌っていたのに、ここまで信頼と愛情を深めたのかと感動しました。それほど、盲導犬とは素晴らしいパトーナーなんだと感動させられました。
<得たもの>
動物に対する優しさと愛情が深まったような気がします。また、色々酷い事件が起きる世の中ですが、まだまだ優しさと愛情に溢れた人達が沢山いる事を再認識させてくれたような気がします。
<考えさせられる点>
一人前の盲導犬を育てるのに一年半の歳月と、1頭につき300万円のお金がかかるのに、寄付金は充分には集まらず、国の助成金も不足している事。
また盲導犬訓練士の数も足りない事。訓練士になるには3年から5年の研修期間が必要で、多くの人が途中で脱落してしまい、92年から95年の研修終了率は12.7%でしかなかったという数字。
こうした事は私はこの本を読むまで知りませんでした。もっと国の援助と対策が必要だと感じました。
ただ、私が読んだのは2001年に発行された単行本の方なので、この情報は古いかもしれません。2005年に発行された文庫版の方には盲導犬をとりまく環境の変化等が新たに、載せられたという事なのですが・・・私はまだ読んでいないので・・・
もう一つ感じた事は、普通のペットより盲導犬は自由がなく、行動や振舞いが抑制されているので、少し哀れに感じた部分もありました。仕方のない事ではありますが・・・