poioroさん こんばんは
薬局を経営している薬剤師です。
歴史的な話は#1さんが言われる通りです。
では現実的な実際の話をしましょう。
医薬品には数種類の価格があるのをご存知ででしょうか??1つは「薬価」と呼ばれる国が決めた価格です。この価格を用いて私たち薬剤師は、保険調在の時の保険計算をする事になります。それ以外に、医薬品は製薬メーカー(製造元)→医薬品卸問屋→病院・薬局等の医療機関 と言うルートで流通している関係で、製薬メーカー→医薬品卸問屋段階の価格・医薬品卸問屋→医療機関段階の価格が有ります。医療機関が医薬品卸問屋から仕入れる価格を一般に「仕入れ値」と言われています。そして「薬価」と「仕入れね」の差を「薬価差」と言います。昔(20年位前まで)は、薬価差が沢山あった訳です。したがって沢山の医薬品を消費すれば、薬価差で設ける事が出来ました。そう言う時代は、医師は沢山の薬を患者に投与して儲けを出していました。そう言う理由で医師は薬価差で儲けを出す為に、処方箋を院外の薬局に発行するなんて行為をしませんでした。
本来病院とは何らかの病気が有るから行く所だと私は解釈しているのですが、例えば風邪引いた患者が来院した時に患者から「疲れた時用にビタミン剤頂けないでしょうか??」と訴えた場合、「ハイ解りました。」と素直に例えばアリナミン等のビタミン剤を出してしまう医者が多かったんです。これは患者側からしたら同じ薬を保険を使って手に入れられる訳ですから薬局で購入するより低価格で購入出来ること、医者側からしたら薬価差で儲けられると言う両者が得になるわけだったんです。したがってそう言う方法で本来の病気治療以外の薬が昔は流通していました。
こう言う行為をし続けた結果として、国保・社保の保険がほぼパンク状態になってしまったんです。上記の行為を続けていったら、健康保険制度自身が成り立たなくなってしまう位まで資金がパンク寸前になってしまったんです。これでは困りますから、国が考えた事は「薬価差」をほぼ0にする事で多量の薬を使う事での儲けを無くそうと考えたんです。これが現在の状態です。そうなると医師は多数の医薬品を在庫する事で赤字傾向になる可能性が高く、これが院外処方箋が増えた理由です。
ところで患者さんの中には、○○先生が記載した処方箋ではなくて○○先生が作った(調剤した)薬でないと効かないと言う事を言う患者さんも居ます。今は錠剤・カプセル等メーカーで製造された薬が多く何所の病院・薬局でも同じ薬を出す事が出来ても依然として「○○先生が調剤した薬」でないと効かないと思い込んでいる患者さんがいます。そう言う患者さんが多い病院では、依然として病院内でお薬を調剤している所が有ります。
またうちの近所の眼科では、眼科と言う目の病気と言う関係で他の薬局に処方箋を持って行かせること自体が大変と言う事を考えて院内で調剤している病院も有ります。
以上でお解りになったかと思いますが、医師が院外処方箋を発行する事を選択するかしないかは医師の考え方次第なんです。私としては、医師が院外処方箋を発行した方がプラスの面が多いと思うのですが、これに付いては医師の考え方次第です。
医師が調剤しても薬局で調剤しても、儲け的にはそんなに有るわけでは有りません。薬局で調剤する場合、無理やり沢山調剤技術料を査定したとしても1枚の処方箋に対して2割の利益が出るかどうかしか利益がありませんから、単に儲ける為の商売と考えた時には調剤薬局はお勧めの商売では有りません。その上国保・社保に請求する保険分の売掛金はサイト3ヶ月です。しかし問屋さんの請求は待った無しに翌月には来ますから、資金繰りが大変な商売ですからそう言う意味でもお勧めでは有りません。
お礼
現実的、実際の話はなかなか面白くてためになりました。 医薬分業の初歩が分かったように思います。 ありがとうございました。