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原子力発電の熱効率の算出方法
現在,原子力発電の熱効率は35%程度と言われていますが,その具体的な算出方法を教えてください.お願いいたします.
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熱出力の上限がどのような制約で決まるかというと・・・・ 核燃料ペレットは熱伝導の悪いセラミックなので、核反応の量が増えると燃料棒の中心温度は非常に高くなります。(下記ページの図1) http://atomica.nucpal.gr.jp/atomica/03060106_1.html 燃料棒の健全性に支障が出ないように(例えば中心温度がいかなる場合でも融点を超えない等)、反応密度は制限されなくてはなりません。 すなわち燃料棒1本の単位長さあたりの出力=線出力密度の制約が生じます。 商用軽水炉の最大線出力密度は約44kW/m、実際には高くても30~35kW/mだそうです。 http://atomica.nucpal.gr.jp/atomica/dic_0527_01.html http://atomica.nucpal.gr.jp/atomica/06010101_1.html 実際には炉全体としての出力分布があり、線出力密度の平均値はもっと小さい値になります。平均値として出典のある数値が見つかりませんが、100万kW級原子炉には燃料棒が約5万本あり、燃料棒1本の長さは4mですから、平均15kW/m であれば熱出力300万kWになります。
単純には、電気出力を熱出力で割れば出ます。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E5%8A%B9%E7%8E%87 たとえば最近話題になった北陸電力志賀原発 http://www.rikuden.co.jp/outline1/ 1号機 定格電気出力54万kW / 定格熱出力159.3万kW = 33.8% 2号機 定格電気出力135.8万kW / 定格熱出力392.6万kW = 34.6% なぜその効率以上にできないかについては、熱力学を勉強する必要があります。
補足
返答ありがとうございます. 大変わかりやすいお答えをいただいたのですが,不学なもので,さらにいくつか質問させていただいてよろしいでしょうか. 1.定格熱出力とはいかなるものでしょうか.また,どのように算出するのでしょうか. 2.火力等の発電システムでは,石炭等の単位質量あたりの発熱量で評価していますが,原子力発電におけるウランの扱いはどのように規定されるのでしょうか. よろしくお願いいたします.
お礼
大変参考になりました.ありがとうございました.