戦争形態の歴史についての認識が必要でしょう。古代ローマなどの例外を除いて、戦争の歴史はこのように進んでいます。
古代~中世:英雄の時代
「国家」という概念がまだ薄かったこの頃、戦争は奇抜な才能をもった英雄と、その名声に惹かれた有象無象達が戦場を支配した(日本でいえば源義経、フランスでいえばジャンヌ・ダルクなどをイメージしてください)。
中近世:集団戦の時代
専制君主・独裁者・権力者のもと、専業の兵士たちが戦場を支配し、「生産地の支配、権威の確立」を目的に集団戦闘が行われた(織田信長やナポレオンなんかをイメージしてください)。
近代:国家総力戦の時代
国家という概念が確立し、国民のための国家という概念が生まれ、全国民が戦争に加わるようになった(日露戦争~第二次世界大戦をイメージしてください)。
1990年ごろまで:冷戦の時代
敵国どころか世界を消滅させる兵器(原水爆と、それを敵国に送り込むためのミサイル)が登場し、大国同士が正面きっての戦争を行えなくなった。弱小国家を舞台とした「覇権戦争」が行われた(ベトナム戦争、朝鮮戦争をイメージしてください)
1990年頃から:低強度紛争とテロの時代
冷戦構造の崩壊が起きたように見えるが、未だ大国のにらみ合いは続いている。しかしこの頃から戦争は大々的なものでなくなり、原子力施設や大量破壊兵器を巡っての諍い、民族紛争、テロと報復が戦争の中心となった(9/11テロ、ユーゴ内戦、湾岸戦争をイメージしてください)。
今は国家主義/国家社会主義とネオ・コンサバティブ(意外にも根底にはインターナショナリズムが流れている)との対立による低強度紛争の時代です。大規模な戦争は起こせません。経済がそれを阻止します。
戦争とは、実は思想のぶつかり合いなのです。