富の分配という点でも問題が大きいです。
数年前にヨーロッパでユーロが統一され、各国が統一通貨を使うようになりましたが、当然各国間で、貧富(国家レベル)や経済力の差があります。
通貨というのは、自国の経済力を上げるために行う政策のひとつでもあり、日本なら円安、今なら125円以上ぐらいに誘導すればすぐに貿易黒字で潤います。これは日本が主に輸出により稼いでいる国だからです。
しかしヨーロッパの各国ではそれぞれ事情が違います。それなのに自国で通貨を発行できなくなると、片手を縛られた状態で政策をしていくことになります。
また、通貨が統一されるとより立地条件の良いところに企業や工場などが出て行ってしまう可能性もあります。
現実にユーロ圏では、スロベニア辺りの経済力の弱い国から、能力のある企業が流出しているようです。
なぜかというと、ユーロで固定されたために、今までは為替の関係で、スロベニアでしか裕福でなかった企業家が、どこでもユーロになればもっと稼げるところに出て行っても、為替リスクを考える必要がなくなったためです。
こうなると、ドイツ辺りのもっと稼げるところに進出して、スロベニアのほうは店じまいしても、自分の稼ぎは増えることがあっても、減りません。
このように、地域の差を為替が調整しているという現実がある限り、世界通貨は出来ないでしょう。
世界は月給1$の国もあり、ユーロ圏のように比較的平均しているとはいえないからです。
ユーロでも問題が起こるような通貨統一は、現実ではできません。
ちなみの#3の兌換紙幣の件では、その国の国力によって、買える金の量に限界がありました。アメリカのように富める国はいっぱい買えますが、貧しい国は少ししか買えません。各国通貨の能力差というのは、厳然とあったのです。