背景は複雑怪奇ですよ。ロシア側の方針だってバラバラだし、一応基本路線としては日本には損になる方向に向かっています。
で背景から説明すると。
まず第一にエリツィン時代にサハリンに眠る莫大な天然資源を開発しようという話になった。公開入札となって外資が全部とっていった。その背景には企業側の議会工作が成功を収めてかなり企業側に有利な契約内容となっています(あがる利益の大部分は企業に入ってロシアにはおこぼれしかまわらない)。まずこれでロシア国内から反発がありました。
環境破壊については、サハリンエナジーという共同出資会社が請け負っていたのですが、かなり強引な工事を推し進めやりたい放題であった。これに環境保護団体が異を唱えます。ただその背景には原子力産業やアメリカメジャーなどもからんできています(つまり自分とこのエネルギーが売れなくなるわけですから開発の邪魔になることなら率先して後押ししています)。
それに伴い、今度は開発側が工事費を値上げしたもんで(その結果ロシアに入るおこぼれが減ってしまう)また反発を買っています。
で現在はプーチン政権になって、超武闘派路線に切り替わった。「ロシアの資源はロシアのために使われるべきだ」という資源ナショナリズム派です。この人たちは政権の中枢にいるので、金に目がくらんでロシアの資源を売りさばいた(と彼らにとって見える)人をシベリア流刑地送りにするなどやり口がむちゃくちゃです。また彼らの中でも権力争いがあるようで、政府の方針というのがよくわかりません。今回の件にしても、日本の立場を尊重するような姿勢を出すこともちらほらあります。
ここ数日のニュースについては、このサハリン2の開発は外資のみのものになっていたのですが、環境問題で難癖をつけて完全に分捕ってしまいました。短期的に見て一応投資した分とそれにまつわる利益は企業には入るようですので、損ではないですが、長期的に見た場合、サハリンのエネルギーの使い道についてはロシア政府が主導で全部決めることが可能になったということですのでマイナスとも言えます。またロシアにとっても今後の外資投資を躊躇させることになる種を自ら撒いた長期的にはマイナスになるでしょう。
環境問題はどこが開発を主導しても変わることはないでしょう。どちらかと言うとそのまま難癖をつけつつ日本主導でやらせてた方がマシだったとは思いますが(例えば一つのテーマになっている鮭などの川上り阻害問題なんて、効果的な対策についてはは日本の方がノウハウが多い)。まぁ最初からそれをやらずに付け入る隙を与えてしまったというのが問題なわけなんですが。
お礼
popesyuさん 回答ありがとうございます。 年明け前に、なんとなく問題は落ち着いたような感じですね。