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『地獄の黙示録』という邦題
フランシス・フォード・コッポラが監督した映画である、原題『Apocalypse Now』に、『地獄の黙示録』という邦題をつけたのは誰なのでしょうか? 字幕を担当した方でしょうか? 由来は、原作となっている『闇の奥』の中の「地獄」から来ているかと思われますが、(この「地獄」でさえ「The horror!」の訳語として適切かどうか疑問が残ります…。)、『Apocalypse Now』という映画の内容を表すには不適切だと思われます。何か意図のようなものでもあったのでしょうか? よろしくお願いします。
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映画の邦題を決めるのはその映画を配給した配給会社です。 なぜ地獄にしたのかは中野好夫氏が翻訳した原作小説の最後の「the horror,the hprror」が「地獄だ、地獄だ」と訳されていることや、戦争=地獄、というイメージが配給会社の人たちにあったんじゃないかと思います。 一般的にはコンラッドの「闇の奥」が原作とされているようですが、映画全体はマイケルハーの「ディスパッチズ・ヴェトナム特電」から来ているところが多いようです。全体のモノローグや戦闘シーンや登場人物なども、ハーのものを相当に参照にしているそうです。 これを配給会社の人たちが読んだかどうかはわかりませんが、ヴェトナム戦争の実態がかなり生々しく書いているので、こんなところからも戦争=地獄のイメージが思い浮かぶのかもしれません。 ついでですが、ラストのセリフは初公開版では「地獄だ、地獄だ」でしたが評判が悪かったようで、長尺版では「地獄の恐怖だ」と改められていました。 英語と欧米の文化に詳しい人だと「the hprror=背筋が凍るような質の恐怖」ということで、地獄よりもどこか抽象的な”恐怖”というニュアンスでの字幕にしたほうがよかったと感じている人は多いようです。 この映画よりも先に公開されたヴェトナムもの「ディアハンター」(当時メジャーのひとつだったユナイト映画配給)がそのまのタイトルだったので、配給した会社(ヘラルド映画:純粋に日本の資本の配給会社です)がもっと過激なタイトルにしたかったんだと思います。 正式なタイトル決定前は映画雑誌の製作中の映画情報には「戦争の黙示録」だったか「現代の黙示録」だったか、そんな邦題で紹介されていたと思います。
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- ironman28
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ベトナム戦争と言うと、やはり地獄と付けたくなるかもしれませんね。 内容もワーグナー流しながらヘリで爆撃したり、脱走した大佐が、自分の王国を作ってたりと、常軌を逸している人達も沢山出てきますしね・・。 邦題を付けるのはまず日本の配給会社の人達でしょうけど、大抵の言葉は使われているわけで、「地獄」というのは戦争映画のタイトルでは度々使われてきた言葉ですし、正確な邦訳だとお客に何の映画か却って分かり難いという事もあります。 地獄と付けるとインパクトが有ると言うのも有るでしょう。「エグゼクティブ・デシジョン」なんてタイトルそのまま使われてもなんの事やらまるで分からないと言うのが普通の反応でしょう。 余談として、故 淀川長治さんが、まだ若い頃映画の配給会社の社員当時、ジョン・フォードの「駅馬車」原題STAGECOACHを「地獄馬車」と言う邦題にされそうになって、必死に抵抗して、「駅馬車」というタイトルにしたという有名な話もあります。 配給会社の担当の人次第で邦題の運命も変わるものでしょうから、日本語の良さを生かし・・尚且つ内容や原題にも則したタイトルをなるべく付けて欲しいものです。良い邦題もいままでに沢山有るわけですし。
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ご返答ありがとうございます。 まさにその点なのです。おかしな邦題に抵抗してくれる人物がいなかったという点で、『Apocalypse Now』は、制作費、興行成績、編集作業、そして何よりも映画史で「絶対的な支持」を得られなかったという意味で、不幸な運命をたどったと言えるのではないかと思ったのです。
- ucok
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ハッキリとした背景は知りませんが、原題『Apocalypse Now』は直訳すると「現代の黙示録」あるいは「今こそ黙示録を」ですよね。公開当時の邦題といえば、ロマンスには「愛と○○の~」、おセンチなものには「悲しみの~」、暗めのものには「地獄の~」を付けるのが、わりとお決まりになっていたので、自然な成り行きかと思います。 不適切かといえばそれまでですが、だったら不適切な邦題なんて山ほどあるわけでして。ちなみに、邦題を考えるのは字幕翻訳者の仕事ではありません。たいていは、いろいろな人が意見を出し合って、配給会社が決定するようです。 質問者さんなら「Apocalypse Now」やラストの「horror」のセリフを、どう訳すのか興味ありますが。ちょっと考えてしまいますよね。「今こそ黙示録を」なんて題名じゃ、人、来なそうだし。
お礼
ご返答ありがとうございます。 (字幕)翻訳はあくまで、原文があって成立するものです。 「Now」の意味を訳出しないで、「地獄」とするのは乱暴すぎます。 そのまま『現代の黙示録』あるいは、私なら意訳して、『我々の黙示録』とするでしょう。「Horror」もそのままで「恐怖」とすべきです。少なくとも映画の中で「地獄」という言葉が出てくることはありません。
お礼
ご返答ありがとうございます。 初公開版で「地獄だ、地獄だ」としたことが問題になったのは、評判が悪かったというオブラートに包んだ言い方ではなく、誤訳だったから、長尺版では改められたのです。 はっきり言えば、この映画の字幕翻訳のレベルは相当に低く、コンラッド、エリオット、フレイザーなどを熟読している者にとっては、戸田氏の字幕翻訳は決して受け入れることができないのです。もっと適切な人物がこの映画の字幕翻訳に関わっていれば、タイトルに「地獄」をつけることにも、必至に抵抗してくれたのではないか、そう思うのです。 しかしながら、この映画の字幕翻訳に、コッポラ自身が戸田氏を指名したという話が事実であるならば、まさに自業自得であり、本当に悲劇の映画の何者でもないのだなと痛切に感じます。