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『予想』 は数学の教授の業績として査定されるのですか
理数系に詳しい者ではないのですが、数学について書いてある雑誌等をみると、 「谷山・志村予想」とか、「フライ・セール予想」とか、『予想』 というのがよく出てきますが、 数学の大学教授等が、給料を決められるときに、こういう『予想』 というのも査定に入れてもらえるのですか? 数学者は、『証明』を公表しなければ認められない、と聞いたことがあるのですが、『予想』するだけで業績とみなしてもらえるのでしょうか? また、証明なしの『予想』だけで、学術雑誌等に掲載してもらえるのでしょうか? 学者の方のお仕事についてあまり良く知りませんので教えて下さい。
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まず、教授の給料について。私立大の給料は良く知りませんが、国立大から私立大に移籍するときは国立大での給料(額ではなく号俸)がベースとなるようです。 そこで国立大の給料ですが、業績にはほとんど関係しません。教授になってしまえば、通常は1年に1号俸昇給します。特別昇給というのがありますが、これも回り持ちで貰うのが普通です。 では業績は全く関係ないかというと、そうではなく助手→助教授、助教授→教授の昇格のときに考慮されます。しかし、業績が非常に優れている必要はなく昇格の内部基準を満たせばよくて、あとは業績以外の要因で決まることも多いのです。 予想が業績になるかですが、あまりならないでしょう。予想はあくまで仮説です。英語では Conjecture ですが「臆説」と訳すこともあって、信用できる業績ではないからです。ただ、「谷山・志村予想」程度になると業績になる可能性はあります。 「谷山・志村予想」は学会誌ではなく、シンポジウムで発表されたようです。その後志村先生の努力によって洗練され周知されるようになったのですが、予想そのものが論文として学会誌に掲載されたかどうかは知りません。ただ、志村先生が学会誌に展望や解説を書かれたときに触れられた可能性はあります。ただ、学会誌に展望や解説を書くためには(予想ではなく)何か大きな業績を出していないとチャンスはないでしょう。 余談ですが「谷山・志村予想」が成立すると仮定して何かの結論を導いた論文は数百とあるそうです。そして、「谷山・志村予想」が成立すればフェルマーの最終定理が成立することが示されました。ということは、フェルマーの最終定理に反例があれば(x^n+y^n=z^n に n>2 で正整数解があれば)「谷山・志村予想」が成立せず、これら数百の論文が無価値になってしまうわけです。反例を見つけたというニュースが流れる度にヒヤヒヤした数学者が大勢いたことになります。
お礼
さっそくご回答いただき有難うございました。 とても詳細なご説明はわかりやすくて、たいへん感謝いたします!