ちょっと気になったので参加。
こういうのはまず条文にあたってみるべきなのですが、その条文自体、なかなか見つからない。条文に言及している記事も少ない。こういう事態の方が異常なのですが、それはともかく。
民主党案では、いくつかの点において「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」を批准するには不十分です。この条約を批准するために改正するのに、批准するハードルをクリアしていないのはどうかと思います。その点を指摘した発言です。
概要を読んだ個人的な感想ですが、例えば証人の買収の処罰化(偽証罪があるから良いといえば良いのですが立件するのが大変)に反対したり、労働組合等の正当な活動を制限しないよう求める(犯罪を犯している自覚があるのか?)条項を入れるよう要求しています。また、犯罪団体の意思決定の結果、その犯罪が行われた場合に限るように要求していますが、それを立証するのは非常に困難なように思われます。
したがって、空文化を目指していたように思います。
さて、ざっと読んだだけですが、国際条約の要求に足りない点は以下の点です。
1. 団体の定義
民主党案(引用は概要から)では
「団体」とは、犯罪を実行することを主たる目的又は活動とする多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織により反復して行われるものをいうものとする
とあります。すなわち
・犯罪を目的とした集団であること
・構成員は多人数であること
・犯罪は反復して行われること
を要求しています。しかし国際条約(外務省訳)では
「組織的な犯罪集団」とは、三人以上の者から成る組織された集団であって、一定の期間存在し、かつ、金銭的利益その他の物質的利益を直接又は間接に得るため一又は二以上の重大な犯罪又はこの条約に従って定められる犯罪を行うことを目的として一体として行動するもの
とあり、
・犯罪はその組織の主目的である必要はない
・三人以上の集団であること
・一回だけでも処罰の対象とする
ことを要求しています。
2. 犯罪の限定(煩雑になるので引用は控えます)
民主党案では、
・懲役または禁固5年以上
・国際性のあるもの
・犯罪組織の意思決定によって行われた物であること
だけが対象ですが、国際条約では
・懲役又は禁固4年以上
・国際性の有無とは無関係
・「物質的利益を得ることに...関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意すること...」とあるように、2人でも可なので、犯罪組織の主導は必要ではない
を要求しています。