東1上場会社でこの手の実務を7年経験しております。
まず、必要最低限として重任1名は署名(記名捺印)します。これは当然ですね。
次に、退任2名についてです。
まず、取締役の退任時期についての確認ですが、おそらく定款に、「定時総会の終結のときまで」とか、記載されていませんか?根拠は商256条第3項ですが、だいたいどこの会社もこの定めをしていると思います。
そうすると、退任者2名の任期は「定時総会終結の時をもって満了する」ことになり、つまり「定時総会終結の時までは取締役」であり、すなわち(2名とも総会に出席していれば、)「署名義務あり」となります。
また、新任3名についてですが、結論から言うと、私は必ず署名してもらいます。
なぜ、そうするかと言うと、商業登記を簡単にするためです。
ポイントを解説すると、
まず、会社と取締役との関係は、委任と受任との関係になる(商254条第3項,民643条)ので、取締役に就任する(これは重任者も含みますが)ためには、「株主総会における決議(委任)」と、これに対する「取締役候補者の承諾(受任)」が必要になります。
そして、登記申請には、株主総会議事録と候補者の就任の承諾を証する書面を添付する必要があります。(商登法81条の2)
就任の承諾を証する書面とは??
一般的に「就任承諾書」という書式で補います。
多分ウェブ検索で引っ掛かるんじゃないかなと思います。要は「総会で決議された場合は、取締役に就任することを承諾します」&「記名捺印」があれば良いです。
ただし、就任承諾は、総会議事録でもまかなう事ができます。(これを「議事録の記載を援用する」と言います)
「なお、第●号議案の取締役候補者全員は、株主総会承認可決後、その場で就任を承諾した」ってな感じの文書をくっつけ、議事録に新任者の記名捺印もさせれば、わざわざ全員の就任承諾書を別個に貰う必要がなくなります。ちなみに私は、新任者の記名には肩書きを入れていません。
取締役がいっぱい居ると、一枚いちまい印を貰うのが面倒なんで、必ずこの手を使います。
議事録に全員の印を押させるのでさえ煩わしいのに、就任承諾書を一枚いちまい作るのなんて、面倒で絶対にやりたくないですからね~。役員がもっと少なければ...、おっと、愚痴になりました。失礼いたしました。^^;
この手の話のもっとつっこんだ内容が書かれている本がありますので、ご紹介だけしておきます。