知人の中に、残留孤児の息子さんがいます。
両親に連れられて10年ほど前に日本に帰ってきたとの事です。 彼とはよく話をするので、今回の裁判は他人事とは思えなかったです。
原告である残留孤児の人や、知人のご両親に限らず、帰国してからの生活は苦しいものがあったように聞いています。
ある意味、当然と言えば当然かも知れません。
理解できない日本語、慣れない日本の生活習慣、ものの考え方、人生のおくり方、周りの人との付き合い方、とにかく全てが中国とは違うのですから、大変な苦労をされたであろう事は想像に難くありません。
そのため残留孤児を産んだ直接の責任者である日本政府に抗議したくなるのも当然だと思われます。
ただ昭和56年、初めての残留孤児の肉親探しの調査が行なわれてきてからの政府の対応をみると、一応それなりに評価しなくてはいけないようにも思います。
当時の厚生省が必死になって肉親探しを行ない、運よく家族が見つかった場合は、法務省や外務省に掛け合い、早期に帰国できるよう万全の体制をとっていたように思います。
また帰国後のフォローも 「それなりに」 キチンとしていたように思います。
空港に着いたとたん、 「私たちの仕事はここまで。 じゃ、あとはご自分でがんばって下さい」 と放り出す事は決してなかったです。
日本の生活に早く馴染むよう、一から指導してくれる研修センターで生活しながら勉強してもらい、徐々に独立できるよう支援をしていたはずです。
ただ個人個人で日本に馴染める人と、そうでない人と大きく分かれてしまったのも事実だと思います。
私の友人一家などは早く馴染んだのでしょうね、今では何の問題もなく生活し、キチンと仕事をして自分の力で独立しています。 もはや中国は過去の記憶になっているようです。
逆にそうでない人の場合は悲惨だと思います。 昭和56年の調査で最初に残留孤児として帰国した人の中でも、日本に溶け込めず 「中国にいる方が良かった」 と後悔する人のドキュメンタリー番組を見た記憶があります。 たしか最後はアル中になって病院に担ぎ込まれたはずです。
中国にいる時には日本は夢のような国で、とにかく日本に帰国さえ出来ればこの世の極楽だと、大きな誤解があったのかも知れません。 当時の中国の一般市民の生活レベルではそう思うのも無理はありませんが ・・
長くなりましたが、本当に気の毒とは思うものの、では日本政府に全責任があるのかと問われたら、判断は難しいように思います。
賛成するわけではないのですが、残念ながら今回の判決は 「考え方によっては、そう言われても仕方ない」 範囲かな、と感じています。
それと今後の裁判の行方ですが、地裁の判決に必ずしも影響を受けるものではありません。 もしかすると高裁では原告全面勝訴の判決も期待できるのではと思います。
ただ国を相手どった裁判について、最高裁の過去の判例をみると、どうも国寄りの判決が出やすい傾向があるように思いますので、予断は許しません。
お礼
>ただ個人個人で日本に馴染める人と、そうでない人と大きく分かれてしまったのも事実だと思います。 本人の努力と、受け入れた家族の状況、いろんなケースがあるんでしょうね。 生活習慣の違い、考え方の違い、中国と日本の常識の違い。。 なかなか馴染めないことも多いでしょうね。 一人一人事情も違うので、一律に補償。。というのは難しいことなんでしょうね。 いろいろ考えさせられました。ありがとうございました。