アイドリングストップ機構を備えたバスでは、信号待ちなどの比較的長い停車時にエンジンをストップし排気ガスの排出量を減らすために、車両停止後、ギアがニュートラルであり、パーキングブレーキが引かれており且つ右折の合図を出していない場合に、自動的にエンジンが停止します。エンジンの再起動はクラッチペダルの踏み込みによって行われます。ただし冷房を動作させている場合は動作しません。これは路線バスなどでは走行用のエンジンで冷房用のコンプレッサーを駆動しているためです。観光バスなどのように冷房専用のエンジンを搭載しているものでは冷房動作時にもエンジンを停止できるのですが、アイドリングストップが最も効果を発揮するであろう、路線バスには採用されていないようです。
以前トヨタ(車種名は忘れたがカローラクラスの乗用車)で採用したことがありましたが、単発に終わりその後出ていないところを見ると、あまり売れなかったようです。そのころはまだ環境に対する関心も低く、優遇税制などもありませんでしたから、現在とは状況が異なりますが・・・
そういえば、トヨタのプリウス(世界初の量産ハイブリッド乗用車)では、発進をモーターで行うため、発進時にエンジンを使用しないのでアイドリングストップ付きという事になりますね。ただしこの場合もエアコン動作時などはアイドリングストップしません。
ところで、通常の市販車で交差点毎や渋滞時にアイドリングストップを手動で行うことはあまりお勧めできません。その理由は、いたって簡単でスターティングモーターに過大な負荷をかけることになるからで、スターティングモーターの寿命をひどく短くする可能性があります。現にある運送会社で都内配送の2トントラック(数百メーターごとに荷下ろしのために停車)で停車時にエンジン停止を実施したところ、スターティングモーターのオーバーホールの間隔が1/3程度にまで短くなった例があります。アイドリングストップ機構を備えた車両ではスターティングモーターの耐久性を高めるなどの改良が加えられていますし、プリウスでは走行用のモーターの力で再始動しています。