重過失といっても、刑法の重過失なのか、失火法の重過失なのか、火災保険の免責条項としての重過失なのかで、微妙な解釈は変わると思います。
失火法の重過失に関する裁判例としては、寝タバコや、てんぷらを揚げているときにその場を離れ火事になってしまった場合については重過失とする傾向があります。他には、飲食店の従業員がトースターの電源を切らないで帰宅してしまい、過熱発火した場合を重過失としたものがあります。(東京地判昭和42年8月2日)
また、「ガスストーブに点火して室内の暖をとりながらベッドに寝そべって週刊誌を読んでいるうち(略)
寝入ったあとベッドからずり落ちた掛蒲団にガスストーブの火が燃え移った」場合について、「通常これに類することは被告以外の者にも時として見受けられるところ」であるから重過失ではないとの裁判例もあります。(新潟地判昭和53年5月22日)
最高裁は、失火法の重過失とは、「通常人に要求される程度の相当な注意をしないでも、わずかの注意さえすれば、たやすく違法有害な結果を予見することができた場合であるのに、漫然これを見すごしたような、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指すものと解する」(最判昭和32年7月9日)としています。
以下は、個人的な見解ですが、てんぷらや寝タバコとことなり、スイッチを切るための行為をしていることと、一応転倒防止の措置もとっていることから、故意に近いような過失とまではいえず、重過失ではないと思います。
ただ、最近は、火災被害者保護の観点から、重過失を広く解釈する傾向があるので、ベッドの上にストーブを置くというのは、寝タバコやてんぷら火災などのように、社会的に非常識な行為であると考えて、重過失とされる可能性もあると思います。
微妙なところですね。
お礼
回答ありがとうございました。やはり重過失の可能性が強いですね。