○株式分割
いま、3月決算会社(中間配当制度あり)の会社が、1/31に割当率1:1(1株→2株)で株式分割をするケースで見ていきましょう。
1.まず、『株式の分割に関するお知らせ』で『配当起算日』を確認
この起算日が期初4/1や下期期初10/1にセットされている場合、旧株と新株の株主としての
経済的利益は同じです。通常は、新旧に株主としての経済的格差はありません。
2.発行日決済取引の有無
分割比率が高く、新株の発行量が多い場合など、発行会社が、東証に新株の上場申請をし、
承認後、新株の発行日決済取引が権利落ち日からスタートするケースがあります。
〔発行日決済取引が行われない銘柄も多々あります。実施銘柄は東証等の
ホームページで確認できます。銘柄コードは、通常、『○○○○1』、新聞で
は『同新』と表記されます〕
※発行日決済取引
新株が約2カ月間売買できないため、信用取引と同じく委託保証金を
証券会社に差し入れ、新株を売買します。最終売買日の4営業日目に
新株もしくは買建て・売建ての損益を差額で決済します。
3.日程≪仮に、1/31を基準日、3/16を効力発生日とした一般例です≫
1/25(火)権利付最終売買日
↓
1/26(水)権利落ち日 【発行日決済取引開始日】
↓
1/31(金)株式分割基準日(権利確定日)
↓
↓通常2カ月程度
↓
3/15(火)効力発生日の前日営業日
↓
3/16(水)効力発生日(新株券交付日)
↓
3/17(木)発行日決済取引最終売買日
↓
3/18(金)新旧株式併合
発行日決済取引が行われる場合、3/18が「新旧株式併合日」ですから、株式は4営業日目
が受渡しの原則、従って、理論上は、3/15「効力発生日の前営業日」から新株は旧株として
売買できます。
しかし、証券会社によって事務対応が違い、新株は3/16「効力発生日」から売買できると
している会社もあり、必ず取引証券会社に確認が必要です。
同じく、発行日決済取引が行われない場合も、「効力発生日」か「効力発生日の前日営業
日」か確認して下さい。
4.旧株・新株の価格≪一般論≫
旧株は権利落ち日に、以下の『理論権利落ち株価』をベースに需給関係で売買がスタート
します。
理論権利落ち株価=〔権利付き株価+(新株払込額×割当率)〕/(1+割当率)
ご質問のケースでは、500円=〔1,000円+(0円×1)〕/(1+1)となります。
この『理論権利落ち株価』は、あくまでもベンチマークです、最近の人気新興市場銘柄では、
株式分割により、
(1)発行済み株式数が増え流動性が高まる
(2)1株当たりの配当金が変らなければ、実質増配となる
(3)1単元の投資金額が低下し、投資しやすくなる
などの理由により急騰し、効力発生日が近づくと、新株の効力発生日以降の売り圧力を
意識し、軟調に推移する傾向にあります。
新株が発行日決済取引で売買される場合、新株の価格は、当初、事前に売却しようと、
つなぎ売りの圧力等で、権利落ち後の旧株の価格よりディスカントされた価格で推移する
ことが多く、効力発生日が近づくと、売買高も減り、価格差はなくなってきます。
以上でごわす。ややっこしいですが、がんばって下さい。(^_^)