信用取引(売り)の費用
某大手ネット証券を利用した具体例で見て行きましょう。
いま、制度信用取引で貸借銘柄(仮にオリンパスとします)を、2,000円で1,000株、信用売り建てしたとします。
(1)売買手数料
約定金額200万円・・・3,150円
(2)信用取引金利
売り方金利(受取)・・・・・・・ 0円
補足説明
信用取引では、買い方の買付株券は、証券会社又は証券金融会社(日証金)に
担保として拘束され、買付代金に対して金利を支払います。
同様に売り方の売却代金も担保として拘束され、これに対して金利を受け取ります。
現在、買い方金利(支払)年利2.1%、売り方金利(受取)年利0.0%です。
尚、信用取引の決済時に清算(支払or受取)が行われます。
(3)貸株料
貸株料・・・・・・・・・・・年利1.15%、便宜上、1日当たりで表示しますと、
約定金額200万×1.15%÷365日=63円
補足説明
信用取引貸株料は、平成14年の金融庁による「空売り規制の見直し」に伴い
導入されました。信用取引の売り方が負担しますが、逆日歩と違い、
信用買い方へは支払われません。
信用取引金利と同様、決済時に徴収されます。
(4)品貸料(逆日歩)
逆日歩・・・・・・・・・・1日当たり100円。現在、オリンパスは日歩10銭の逆日歩、
従って、1,000株×0.1=100円。日歩10銭=年利36.5%。
補足説明
逆日歩は、日証金において貸株超過(株不足)となった時、その不足株の調達金利を
表します。信用買残高>信用売残高の状態においても、発生しますのでご注意下さい。
逆日歩は、1株について○○銭と日歩で計算され、年利換算では高利率ですが、
対象は約定代金ではなく、株数です。(2)・(3)と同じく決済時に徴収されます。
尚、一般信用取引では、逆日歩はありません。
(5)その他
少額ですが、約定から反対売買で決済しないまま1カ月が経過するとかかる
「信用管理費」、信用買い建ての場合は、その銘柄が、決算期等を超えた
場合にかかる「名義書換料」があります。(詳細は省略します)
以上のことを整理しますと、
●信用売り
・売買手数料
・信用取引金利(受取) 年利0.0%〔一般信用取引:同率〕
・貸株料 年利1.15%〔一般信用取引:年利2.0%〕
・品貸料(逆日歩) 1株について日歩表示〔一般信用取引:なし〕
・その他 信用管理費
ご参考までに
●信用買い
・売買手数料
・信用取引金利(支払) 年利2.1%〔一般信用取引:年利3.1%〕
・品貸料(逆日歩) 発生すれば受け取れる〔一般信用取引:なし〕
・その他 信用管理費、名義書換料
最後に、
信用取引の条件は、証券会社によって、若干の差異があります。
特に一般信用取引では、注意が必要です。
このケースにおける某大手ネット証券会社では、一般信用取引として無期限信用取引を
行っており、それに基づき記入致しました。
信用取引は、『あやふやな理解』を一つ一つ潰してから始めるのが、ベターと思います。