不妊治療と生命倫理
不妊治療に臨んでいる男性です。医者からは顕微受精を勧められています。しかし、私の倫理観に照らして、着床前診断および出生前診断により、正常な染色体数の受精胚および子を「選抜」することが受け入れられません。実際には余剰胚を生じなかったとしても、それを行おうとすることそのもの、そのように考えてしまった自分自身が許せません。そうしてしまうことで、一生十字架を背負って生きていかなければならなくなるように思います。
私自身は、相同組替が終了した時点で、受精卵はヒトとしての尊厳をもつものと考えています。余剰胚の廃棄は、殺人に等しいと考えています。
一方で、子が欲しいことも事実で、顕児を望むならば、一刻も早い決断が求められています。そこで、何とかして不妊治療に臨む自分自身を正当化し、納得させられないものかと考えています。例えばヒトES細胞を扱っていらっしゃる研究者は、どのようにして心の痛みに耐えていらっしゃるのでしょうか。どのように向き合っていらっしゃるのでしょうか。