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シティバンクの打撃
シティバンクに対する行政処分によってこの会社は致命的な打撃を受けるのでしょうか。
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行政処分の範囲は後述するように限定的で、日本からの全面撤退に一気に追い込まれるものではないです。 一方で行政処分を受けたという事実が、間接的に顧客離れや資金流出を加速することはあるでしょう。その影響は未知数です。 今回の行政処分の内容について整理すると (1)プライベートバンク部門(富裕層向けのコンサルティング的資産運用)の、平成16年9月29日以降の新規取引停止、平成17年9月30日でプライベートバンク部門の営業許可取消 (2)それ以外の部門の新規顧客(平成16年9月29日以降口座開設)に対し、平成16年9月29日から10月28日まで外貨預金業務の停止 の二つです。 法人や一般個人向け部門の営業は継続されますし、これらの部門においては既存顧客との取引も外貨預金を含めてこれまで通りです。新規顧客で外貨預金をしようという人だけが最大1ヶ月影響を受けるに留まります。(詳細はhttp://www.citibank.co.jp/oaa_step.htmlで) ただ、プライベートバンク部門はこのまま日本から撤退することになるでしょう。シティバンクが収益の柱の一つに育てようとしていた部門であり、計画修正を余儀なくされるシティバンクにはそれなりの痛手です。 次に間接的な影響についてです。 シティバンクはかつて、「24時間テレフォンバンキング対応、海外からでも通話料無料」「一定以上の残高があれば他都市銀行や郵便局で手数料なしに入出金可能」といった革新的サービスの先駆者でした。しかし今は「他行で手数料無料で入出金」はシティバンクでなくてもできますし、パソコンを介した24時間オンライン取引も多くの銀行が導入したので差は縮まっています。 またテレフォンバンキングも海外からだと有料になりましたし、口座維持手数料や海外送金手数料も上がり、円トラベラーズチェック発行もなくなるなどメリットは小さくなってしまいました。 さらにセールスポイントであった外貨預金でも、他行より金利が低く、円⇔外貨の為替手数料も割高、中途解約ができない(*1)など不利・不便な点が目に付くようになりました。外貨預金をオンラインで扱い、利率も高いソニー銀行や新生銀行のような強力なライバルが出現した今、目的が外貨預金だけならシティバンクを積極的に勧める理由は見当たりません(*2)。 シティバンクの優位性が薄れ資金流出が起こりつつある今、このような不祥事があればそれを加速するでしょう。シティバンクはいわゆる「格付け(*3」)こそ高いのですが、一方で「ドライ・事務的・慇懃」という印象を拭えません。「近所で便利だから」「地元経済に貢献しているから」といった理由でシティバンクを選んでいる人は少ないだけに、商品・サービス自体の魅力が低下したら今度は顧客がドライに対応すると思います。 世界全体で見ればシティグループはやはり巨大なので、日本での処分だけで潰れることはないでしょうが。 推測の域を出ない答えで申し訳ありません。 *1 「ステップアップ定期」は中途解約可です。 *2 外銀だけあって海外サポートは充実しており、よく外国に出かけるなら捨て難い魅力があります。例えば「外貨預金から直接トラベラーズチェックを組める」「海外支店で、無手数料でトラベラーズチェックを換金できる」「海外ATMでお金を引き出せる(レートはよくないが)」「米ドルなら外貨預金を現金で引き出せる(要手数料)」などです。 *3 「格付け」は民間会社が勝手に出しているものであり、絶対的基準でないのは申し上げるまでもありません。
お礼
丁寧なご回答ありがとうございました。 なかなか適切な解説を加えた記事は見当たらないので参考になりました。 ただ、日本の金融機関もいつまでも、護送船団の横並びでは不甲斐無いですね。 金融機関の内部事情は一般では窺い知れない事柄が多く、金融機関自らの情報開示に期待できない以上、エコノミスト等の説明が求められると思います。