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【セレン光電池】なぜ時計メーカーはセレン光電池駆動
【セレン光電池】なぜ時計メーカーはセレン光電池駆動の腕時計を作らないのですか?
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正確な理由は全ての時計メーカーに確認しなければ判りませんので、どうしても推測による回答となってしまいます。 太陽電池として最も普及しているシリコン太陽電池であれば光のエネルギーを電力に変換する効率が、実験的に造られた世界最高記録のもので27%弱、一般的なもので20%前後、軽量化重視で効率の低いものですら10%前後であるのに対し、セレン光電池の変換効率はわずか1%程度に過ぎません。 つまり、シリコン太陽電池と同じ電力を賄うためには、シリコン太陽電池の20倍くらいの面積にセレン光電池を設けなければならないわけです。 それでは光電池が占める面積が広過ぎて時計をデザインする際の自由度が制限されてしまいますし、いくらセレン光電池のコストがシリコン太陽電池よりも多少低いとは言っても、流石に必要な量が20倍にもなればセレン光電池の方が高くつくかも知れません。 また、シリコンは地殻に存在する元素の中で酸素に次いで多い元素なので資源が枯渇するおそれが無いのに対し、セレンは年間産出量が約2900トンと少なく、それもセレン銀鉱から銀を取り出す際の副産物として分離される等といった他の有用物質を得る際の副産物として得られるだけで、セレンそのものを得るためだけに採掘する事がコスト的に可能な鉱石が存在せず、予想埋蔵量も10万トンくらいしかありません。 加えて、シリコンは人体にとって実質的に無害であるのに対し、セレンには毒性がありますから、原料の貯蔵や製品の製造工程で作業員がセレンに被曝しないようにしなければなりませんし、何よりセレン光電池を使用した製品を廃棄する際にも有害物質が環境中に流出しないよう厳重に配慮された特別な廃棄場に廃棄しなければなりませんが、そのような廃棄場は少なく、廃棄出来る容量にも限りがあるため、他の種類の有害物質もそこに廃棄しなければならない以上、セレン光電池を製造して廃棄場の容量を圧迫するわけには行きません。 そのため、セレンに限らず有害な物質を製品に用いる事は現在ではメーカーに忌避されており、例え製造したとしても消費者に購入され難いので、卸売業者や小売店でも取扱いを断わられてしまいます。 そのようなわけで、同じ用途にもっと高性能なシリコンを使えるのに、毒性があって性能が低く、資源量も少ないセレンをわざわざ使う意味は無いと考えられます。
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