「首相 (Prime Minister)」というのは大臣 (内閣各相) の長という意味で、公選の対象にはなりません。
公選で内閣各相の長を決めるのは大統領制と言います。
大統領は就任すると内閣 (政府) を発足させ、各大臣を指名します。
そのため大統領が交代すると、まるで与党と野党が入れ替わったみたいに政府の重役達がごっそり入れ替わりますし、米国では州知事が大統領に当選すると州知事時代の配下をごっそり中央政府に連れてきますので、そういう政府を州の名前を持つ Mafia (例えば Georgia Mafia) 等と呼んだりします。
首相というのは英国の Prime (第一の) Minister (大臣) を和訳した言葉で、日本は英国式の議会制民主主義を採り入れた事から「首相」という言葉を使っています。
英国式議会制民主主義では国会の第一党 (与党) より選ばれた Leader が Prime Minister (首相) になりますので「首相 (或いは内閣総理大臣)」という名称の者を国民公選で指名するわけにはいきません……言葉の意味が違いますので(^^;)。
つまり、日本も首相を公選で選ぶには首相 (或いは内閣総理大臣) という役職を廃止して大統領制にしなければなりません。
日本国憲法は 103 条ありますが、内閣の項目は第 5 章の第 65 条から 第 75 条まであり、その前後にある第 4 章第 41 条から第 6 章第 82 条までが国会及び司法の条文となっています。
一方、県知事や市長等の公選制については第 8 章第 92 条から第 99 条に記されており、第 5 章の内閣に関する条文を第 8 章の地方自治に関する条文に合わせてごっそり変えると共に、影響を受ける国会と司法に関する第 4 章及び第 6 章の条文も変更しなければ大統領制なんてできないでしょうね。
まぁチョコチョコ変えるより憲法を一から作り直した方が早いくらい、首相の公選制 (首相制ではなく大統領制にする) なんて難しい改革です。
まぁ尤も、国会与党と対立する大統領が公選されると大統領は国会の立法に押印 (Sign) しませんし、国会は大統領の法案を審議しようとしなくなって国の運営が空転して何も決まらなくなりますから、日本では大統領制なんてまず「お花畑のお伽噺」にされるでしょうね。
米国でも今年、国会の与党 (民主党) が共和党になるかもしれない危うい選挙となり、大統領 (民主党) の国家運営はどうなるんだと大騒ぎになりましたものね。
お礼
大変詳しく教えていただき、ありがとうございます!みなさん、ありがとうございました!