覚醒剤密輸の取り締まりと金塊の密輸の取締は意味合いが違います。
覚醒剤は、強い依存性があるとされ、一度その悪魔に魅入られた者は、全ての財産をなげうって覚醒剤を求めるようになります。
そうなった人はまともに仕事もできず、生活保護を受けるのみになります。
国としては、働く人が減り、生活保護者が増えるのは困るのです。
国民にはしっかり働いて、自分の財産を作るとともに、国にもたっぷり税金を納めてほしい。
覚醒剤を放置することは、生活保護者をどんどん増やし、税金支出が増えていくことを黙って見ていることであり、最終的には国家崩壊に繋がることであるので、厳しく規制するんです。
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金塊の密輸は、上記とは別の話になります。
金塊、金地金の取引を日本国内で行えば、消費税がかかります。
でも外国では、金塊とお金は等価交換である国もあります。
そこで、外国から日本に金塊を持ち込む際には、消費税相当を支払うこと、となっています。
(逆に持ち出す際には、消費税相当還付を受けられます)
さてここで、金塊を密輸入すると、消費税相当額を払わなくて済みます。
でも、日本国内では消費税も一緒にもらって、売れます。
ということは、海外から金塊がうまく密輸できると、消費税相当額(今なら1割)、財産が増えたことになるんです。
まあ、国に入るはずだったお金をみすみす個人のサイフに入れること、しかも結構高額となると、見過ごせません(要は脱税)。
なので、取り締まります。
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この2つの違いは、「持っているだけで違法かどうか」ということにも表れていますね。
覚醒剤は、国内に流通させたくないものであるため、所持しているだけでも逮捕されます。
金塊は、持っているだけでは違法でも何でもありません。「持ち込むのは構わないが、脱税は違法」なわけです。