私はコンサルタントで、たまたまプレゼンを教える立場にいます。
けど、どこの会社でもやたら面倒にごたごた言う人が多い。データの分析方法とか表現を磨くとか、全然間違ってはいないけど、そこそこの実力がある人以外には参考にならない意見ばかり飛び交っているという状況の会社が多いのです。
私が言うことは非常にシンプルです。これはあまりに簡単でばかばかしいから誰でもできる。
起承転結を考えたら失敗だ。結起承未、とやれというのです。
まず結果を報告しろ。いいことを一番最初に言え。です。研究成果の発表なら見やすいような発見結果があったらそれを真っ先にいえばよく、企画のプレゼンなら、一番悪い場合でもここまでは行けるという成果見込みをまず話すのです。
一番悪い場合というのがポイントです。いいことばかり話したら架空の理想論だけをかたっているとしか見えませんから。
とにかくまっさきは「いいこと」です。
会社のプレゼン会議なんかで役員が参加していても多忙ですから最後まで付き合うと限らないのです。途中で割り込みで呼び出しがかかったりしたらそこで中座します。そうするとこの人はその直前まで聞いたことしか状況として認識しません。
だからいいことほど先にいう。成果が上がった話からはじめれば、中座されたとき、わるい話とか宿題的な話まではきかないことになり、役員には悪い印象は持たせなくて済むんです。
これは顧客相手でも同じで、自分のことじゃない話を聞く場合それほど興味も熱意もないことに付き合わなければならないんですぐに飽きます。だけど、景気のいい話が最初に来ると、ああなんかいいことなんだこいつらがやっていることは、と思えます。だらだらと苦労話なんか聞かされたら客は寝ますよ。
中は飛ばしますが、最後に、やっていないこと、できなかったことを述べるのです。そうすると、いままでの話では成果は上がった、そのためにがんがん努力した話を聞かされていますから、決して失敗には聞こえない。ああ資金がもっとほしいんだな時間が欲しいんだなと受け取ってくれます。
役員だったら予算をまわしてくれようと考えます。顧客ならこの会社は大成功の一歩手前なんだと解釈して契約しようかなと思ってくれます。
完全にできあがっているわけじゃなく改善の余地を示すと、前向きだと錯覚してくれます。
どうですか、だれにでもわかる説明だし、誰でもできることでしょう。数値の分析やなんかが得意なら当然このストーリープロットの中で展開すればいいんです。
ただ、プロジェクタに写している画面内に数式をいれたり細かいグラフを表示しては駄目です。必要だと言っても細かい文字でごちゃごちゃかいたら、いま画面を見ている観客にお前も考えろと言っていることなりますから非常に失礼です。
言葉で細かいことをいうのは自由ですし、何かほしいといわれたときのために数式を展開した論文やなんかを別途用意するのはかまいません。だけどスクリーンに映してはいけないのです。スクリーンはまあ漫画と吹き出しタイトルが写っている程度がいちばん結構です。
観客をふるいにかけることは絶対にしてはいけません。ああ自分が聴いてもわからない話だなと思った瞬間に予算は止まりますし客は逃げます。
聴衆の中にはひどく詳しく細かい人もいるでしょうし、こちらのやることを疑ってかかる思考の人もいるのです。そのひとたちが欲しいような資料は全員にみせないけど全部用意すればいいのです。
そうすると、こいつらあまり考えていないんだろうな所詮馬鹿だろうなと決めつけて聴いている聴衆に、気が付いたら目のまえにビショップがいるという状態を作れるのです。
そこでびっくりさせることができたらもう資料はいらないのです。相手は恐れ入りますから。
いいですか、賢く見えようとか立派にみせようなんて思わないのがプレゼンのコツです。誰でも上から目線で見られるような感じにしておいて、突っ込まれたら鉄壁になっているのがベストなんです。カラだとおもってスコップをつっこんだらがちんと鉄が当たったりしたら、もうそれ以上彫らなくてもいいやと思ってくれます。かりにその鉄の下に何もないとしても。
こういうのがシンプルにプレゼンがうまくなる方法なんです。
もちろん講習をする場合は、一人一人にやらせてみて柔軟性の訓練はいたしますけど、若い人ほどよく伸びます。
お礼
回答ありがとうございます。 参考にさせて頂きます。