管用ねじには様々な規格がありますが、我が国で一般的に用いられるJISには次ぎの種類があります。
JIS B0202 管用平行ねじ 記号 G
JIS B0203 管用テーパねじ 記号 R
記号 G の管用平行ねじは管の機械的結合を目的としていますので、接合部の封密性は考慮されていません。すなわち、このねじで管をつないだ場合、そこから管の中の流体が漏れてもそれは規格上「当たり前」ということです。
中の流体が漏れないように管をねじでつなぎたい、という場合には記号 R の管用テーパねじを用います。
封密用の管用テーパねじには次ぎのものがあります。
管用テーパおねじ 記号 R
管用テーパめねじ 記号 Rc
管用平行めねじ 記号 Rp
わかりにくいのは記号 Rp の管用平行めねじですが、これは記号 R の管用テーパおねじと組み合わせることで封密性を持つようになっていますので、記号 G の管用平行ねじとはそっくりですが全く別のねじで、タップのような加工具も検査用のゲージも異なります。
封密性という点ではテーパのおす・めすの組み合わせになる管用テーパおねじRと管用テーパめねじRcの組み合わせが有利なのですが、管用テーパめねじRcは加工に際して深さ管理をしなければなりません。そこで封密性ではやや不利でも、深さ管理が不必要な分だけ加工や検査の楽な管用平行めねじRpが設定がされているとお考えいただければよいでしょう。
したがって、JISでは管用テーパねじに油圧用・空圧用を特に区別して定めているわけではありません。「油井管用ねじ」というものもありますが、全く一般的ではありません。
管用ねじについては、JISの記号が変わりましたので、かなり混乱があるようです。参考までに新旧の呼び記号を対照しておきますが、呼び記号が変わっただけで、規格の内容に変更はありません。
旧記号 新記号
耐密用テーパおねじ PT R
耐密用テーパめねじ PT Rc
耐密用平行めねじ PS Rp
機械的結合用平行めねじ PF G
機械的結合用平行おねじ PF G(公差等級によりAまたはBを付す)
機械的結合用平行おねじGAとGBとでは、B級のGBの公差はA級のGAのほぼ2倍になります。
なお、蛇足ながら真空関係となるとテーパのオス・メスの組み合わせでも管用ねじでは気密性が不足で、シールテープや封着剤を使用しても、低真空~中真空の領域を超えて使用することは避けたほうが賢明でしょう。
お礼
大変分りやすく丁寧に御説明頂き有難うございます。 油圧と空圧とで別の物と思っていましたが、区別は無かったのですね。 勉強になりました。 有難うございます。