養護教諭になるには養護教員免許の資格取得が必要です。
それとともに、教員採用試験に合格する必要があります。
しかし、養護教員免許は、保健師の資格を持っている者に限り、大学でいくつかの授業を受講して申請すれば取得可能です。このいくつかの授業というのは、養護教諭の専門的な知識に関わるものではなく、生徒指導の方法や教育心理学といった、教員になるために必要な一般教養、といったものです。
なお、保健師の資格はおそらく看護の専門学校でも取得できると思います。
3つの資格によって得られる能力の違いは以下。
・養護教員免許 → 教員としての「一般教養」、健康や保健衛生・医療行為に関する「知識」
・保健師(国家資格)→ 健康や保健衛生に関する「知識」、医療行為に関する「知識」
・看護師(国家資格)→ 医療行為に関する「知識」、医療行為に関する「技術」
つまり、3つの資格を比較すると、養護教員と保健師には重複する部分があり、保健師と看護師に重複する部分があるのがわかると思います。逆に言えば、養護教員になるには看護師の資格はいらないですし、看護師になるには養護教員の免許は必要ありません。
では、なぜ養護教員になるために看護師の資格が必要なのか... と言うと、2つの理由が考えられます。
ひとつは、前述したそれぞれの資格による違いの中にある、看護師だけが持てる「医療行為に関する『技術』」があることです。看護師は医師ではないので外科手術は行えませんが、そのような手術の補助や、注射などの医療補助行為が行えます。
たとえば学校で重大な事故が発生していながら、救急隊員などの到着が遅れる時など、もしも養護教員が医療の補助行為ができるとしたら、救急隊到着までの応急処置などで行える範囲が増すのです。
次に、養護教員は各校通常は1~2名しかいません。しかし大学などで学ぶ学生はもっと多いですよね?要するに、大学を卒業してすぐに養護教員として就職・採用になるかは、募集がゼロという年もあるので約束はできないのです。そのため、養護教員になるまでの間は、看護師として働いたりする...といった選択肢があります。
なお、養護教員免許は必然的に保健師の資格とも重複するので、たとえば市役所や公的な保健所などで働く行政保健師という仕事もあったりします。養護教員は、このように保健師としての仕事をしながら、養護教員の募集があるまで数年間待ったりするのですが、保健師の採用も各地自体毎年1~2名程度と狭き門なので、それよりも恒常的に人材不足に陥っている看護師の資格を持ち、看護の仕事をしていた方が、大学卒業後に仕事がない、という状況には陥りにくいのです。
ちなみにですが、各大学では「科目履修生」という制度があったりします。これは大学入学試験を受けずに、資格取得のためなどで大学の授業を受ける必要がある人に対し、特定の授業だけ受講を許可する制度(1授業あたり〇〇円、といった学費の支払い方になります)です。
看護師と保健師の資格を持っていれば、おそらく教育大学などでの科目履修生になることができると思います。
つまり(2)のように、まずは看護専門学校で、看護師や保健師の国家資格を取得しておき、そのまま一度は就職してしまうのが生活や経済的には良いと思います。そのうえで社会人として科目履修生などの制度を利用し、養護教員に必要な授業だけ受講しに大学に通う、というのがいいのではないでしょうか。
社会人として仕事をしながらですと、結構大変と思われるかもしれませんが、いざ大学卒業後に仕事がなく、将来にあまり関わりのない仕事に就いてチャンスを待つことの方が心が苦しいのではないでしょうか?
せっかくなら看護師としての現場経験を持った養護教員を目指す、というところに目標設定を少し変えてみるといいのではないか、と思います。
まあ、仕事をするとわかるのですが、結婚など、いずれかのタイミングで転職を考える時期も来ると思います。そういったタイミングで看護師から養護教員に転職する、といった人生設計でも構わないと思います。