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著作権について質問です。
小学校教諭をしています。 (1)集中力が持続せず,授業に参加できない児童がおり、児童が集中できるようにその児童が興味のあるキャラクターを使って集中力の向上を図りたいと考えています。 しかし、本来の授業とは関係のないプリント集を作ることになるのですがその場合は著作権の侵害に当たりますか? (2)児童が家庭学習の習慣がつくように,自習用のプリント集を作りたいと思います。表紙に既存のキャラクターを使うことは,著作権侵害に当たりますか? ・授業では,使いません。 ・興味を引けるように,敵キャラをやっつけていき(問題を解く)だんだん敵が強くなるような(難しくなる)問題集を考えています。
専門家の回答 ( 1 )
- 専門家小川 敦司(@kawasakiphos) 弁護士
弁護士(神奈川県弁護士会)の小川敦司がご回答します。 ご質問の件は,著作権法上の複製権(21条)の権利制限の有無が問題となり,具体的には(1)35条1項(学校その他の教育機関における複製等)または(2)30条1項(私的使用のための複製)の適用の有無が問題となります。 まず(1)35条1項(学校その他の教育機関における複製等)では,学校において教育を担任する者がその授業の過程における使用に供することを目的とする場合,必要と認められる限度で公表された著作物を利用できるとされています。 ここで「授業の過程」とは授業本体に限らず学校行事や必修のクラブ活動は含まれるものの,児童や生徒の参考に供するものは含まないと考えられています。ご質問(2)では公表された問題やキャラクターを「自習用プリント」に使用されるとのことで,これを「授業の過程」での利用ということは難しいでしょう。また,公表されたキャラクターを毎回のように利用することはさすがに「必要と認められる限度」を超えていると判断されるおそれがあり,この点でも35条1項でご相談者様の行為を正当化することは難しいと考えられます(ご質問(2))。 一方,(2)30条1項(私的使用のための複製)では,著作物を個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する目的に限り,これを複製することができるとされています。「その他これに準ずる限られた範囲内」の意味については強い人的結合関係で結びついたごく少数の者の間と解釈されており「3,4人程度のごく少数」を指すという当時の文化庁次官の説明も残っております。ですので,クラス全体に配布するプリントでの複製(コピー)を本条で正当化することは難しいでしょう(ご質問(2))。一方,キャラクターの複製されたプリントを渡す対象が特に授業に集中できないごく少数の児童に限られるならば「その他これに準ずる限られた範囲内」で使用されることを目的とするものとして,著作者の複製権が制限される=ご相談者による複製が可能である,といえそうです(ご質問(1))。 結論を申し上げますと ご質問(1) (2)30条1項(私的使用のための複製)を根拠として対象の児童の方にキャラクターを複製したプリントを制作しお渡しすることが可能である。 ご質問(2) 著作権法における複製権の権利制限の規定でも正当化は困難である。 となります。 以上,ご参考になりましたら幸いです。
小川 敦司(@kawasakiphos) プロフィール
弁理士資格も持つ知財系弁護士が企業法務をがっちりサポートします。 ◆注力分野・対応分野 【注力分野】 企業法務,知的財産権(特許,商標,意匠,著作権,不正競争防止法),マンション管理 【対...
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お礼
わかりやすく説明していただき、ありがとうございました。