北朝鮮のミサイル開発は謎が多いですが、最初に実戦配備されたスカッドミサイルは元々は第2次大戦中のドイツで開発されたV2の技術をソビエトが接収し開発したものを、北朝鮮がエジプトから購入し分析した上で自国で開発し、輸出するまでになったようです。その後改良をして準中距離弾道ミサイルのノドンを開発、ノドンを1段目、スカッドCを2段目に採用した中距離弾道ミサイル・テポドンと、更にテポドンを改良し3段目まで搭載可能な大陸間弾道ミサイル・テポドン2に進化しています。
一方で、今年になってから相次いで打ち上げ実験をしている中距離弾道ミサイルのムスダンは元々ソビエトで開発されたものをソビエト崩壊時に技術情報、部品、エンジニアごと北朝鮮が取得した物らしく、技術的にはかなり古く成熟していると言われています。また北朝鮮内に200基ほどあるとも言われているのですが、技術的な過信もあったのか今年になるまで打ち上げ実験を行っておらず、打ち上げてみたら失敗の連続と言うことのようです。ただNHKは毎回「新型中距離弾道ミサイル」と新型をうたっていて、別の情報があるのかも知れません。打ち上げ失敗の理由はわかりませんが、成熟した技術とは言え可搬性や距離を伸ばすための改良を入れているらしく、ミサイルの場合ほんのすこしの設計変更でも影響が大きいため、不思議な事ではなく、一方で通常は失敗したらそれを分析して修正し、再実験するのに最低でも3ヶ月はかかるものを立て続けに実験しているのが異常だと言う専門家もいます。
テポドン2にはムスダンの技術も採用されているので、わかっている限りで言うともともと北朝鮮の科学者・技術者がスカッドから積み上げてきた技術と、ソビエトから入手したムスダンの技術を組み合わせて独自進化させているのではないかと思います。
よくわからないのが潜水艦発射ミサイルSLBMで、ムスダンを元にしていると言われているのですが、こちらはこれまでのところもう少し成功率が高いように見えます。
ムスダンも失敗を繰り返している割には、より難易度が高く、発射の兆候をつかみにくい移動式発射台からの実験を成功させているので、急速に改良進化している可能性があります。
海外の科学者を拉致して研究させている可能性は否定出来ないのですが、わかっている限りでは、概ね自国内で金と人材に糸目をつけず、強いプレッシャーのもとに開発進化させているのではないかと思います。
ちなみに、北朝鮮の軍事予算はGDPの20%ほどで、その40%をミサイル開発、核開発にあてていると言います。用は、通常兵器と軍隊による戦いでは勝ち目がないため、核ミサイルに予算を集中させている。しかも、効率はともかくあれだけ立て続けに実験しているのでデータも集まるだろうし全くあなどれないと思います。
今のところ、中・長距離弾道弾に搭載するための核弾頭の小型化、いつでも発射できるように燃料を充填した状態で配備できる固体燃料ロケット技術、大気圏再突入時の耐久性など、中長距離核ミサイルとしてはまだ実戦段階には無いとも言われます。ただ、あくまでもグアムなどのアメリカの基地を目標にした場合の話で、韓国であれば500発は持っていると言うスカッド、日本はノドンで射程に入るため、すでに危機的な状態と言えると思います。