私の場合、「Audio の効能」って「Camera の効能」と良く似ていますね。
私は Camera の趣味もあるのですが、Camera の趣味に填まり込んだのは Digital Camera 時代になってからです。
私の場合、写真は「見たままの像を可能な限り正確に再現する」というものとは全く異なります。
Zoom Lens や Macro Lens を使うと肉眼では見えなかったものが Close Up されて見えるようになりますよね。
その時、肉眼では見えていなかったものに感動し、実際に目で見ていた時とは異なる感動に喜びを見いだします。
夜空の星雲なんて肉眼では見えないものですが、Slow Shutter で光を貯めて天の川や星雲を浮かび上がらせると興奮します。
特殊な Lens や特殊な撮影法などしなかった普通の画像でも「撮影していた時には気付いていなかった」ものを発見して新たな感動を呼び起こされます。
音楽も「何度も何度も聴き直す度に新たな発見が得られて感動する」ものですが、Audio も Camera も「Data が記録される」ものですので、その Data を様々な手法で何度も何度も再確認することによってその度に新たな感動を得ることができるのです。
生演奏は 1 度きりの体験でしかなく、その時に気付けなかったものは永久に得られないものになるのですが、Data が記録されれば幾らでも新たなものに気付く機会に恵まれます。
生では得られなかったものを得られるのですから Audo や Camera (写真) を「可能な限り生に近付ける」なんて発想は「可能な限り、殆ど何も気付けなかった時の状態に近付ける」というものでしかなく「せっかく様々な方向から再確認して新しいものに気付く機会を得ているのに、なんて勿体ない事を……」と思ってしまいます(^_^;)。
Music Mania (Fan?)と Audio Mania の違いは「良い、或いは美しいと言った『正』或いは『理想的な状態』の方向に揃えられた環境を肯とする」のか「敢えて『負』の状況にしてでも、狙った目的のものを浮き立たせて詳細に確認する行為も肯とする」のかの違いではないかと思っています。
例えば Jazz Trio 曲で Bass の音や Sizzle Cymbal の音がどんな風に鳴っているのか知りたいと思ったら Tone Controller で低音域或いは高音域を持ち上げ、Piano や Saxophone の主音がある中音域は絞ってしまいますよね。……Mania になると Woofer や Tweeter 以外の Unit への信号を Cut してしまうこともあります(笑)。
こんな聴き方は「音楽 (Music) を聴く」姿勢では全く無いのですが「音 (Audio) を聴く」姿勢であることに間違いはないでしょう。
勿論、こんな事ばかりをしているわけではないのですが、音楽を再生している時は少なからず「音楽 (Music) を聴く」と言うよりも「音 (Audio) を聴く」姿勢が混ざってしまうもので「低音域をもうちょっと増強して Attack の切れを良くしたいなぁ」とか「中高音域をもうちょっと滑らかで細かい表現のものにしたいなぁ」などと「音楽 (Music)」とは異なる「音 (Audio)」に注意が向いてしまうのですね。
そして調整が上手く行った時には「おおおっ、こんな音が入っていたんだ(^_^)/」と大喜びするのですが、それは演奏会場で聴いていた時の音とはまるで違う音ですし、もしかすると演奏者自身にも聴こえていなかった音かも知れないものですので「生」を再現しているわけではありませんよね。
Digital Camera で撮影した画像も PC (Personal Computer) の Software で暗部を浮き上がらせるよう Tone (輝度) Curve をいじったり、輪郭部を強調してはっきりくっきりの画像に補正したりといった行為は既に「見たままの状態を再現する」ことを逸脱して「見たいものを強調して見る」行為になっています。……PC で補正する以前に、望遠 Lens や Macro Lens を使ったり、背景を暈かす手法で撮ったりするという行為も「見たまま」とは異なるものを求めて行う手法ですよね。
生演奏会場では不可能だった「もっと演奏者に近付いてその楽器の音をもっとはっきりと聴きたい」とか「あの時は演奏者の方向にしか目を向けていなかったけれど、ちょっと息を抜いて天井や壁の方を向くように Relax した気分で聴きたい」というような気分に合わせて音を変えてしまう……どのように変化を愉しもうとも Original Data が失われるわけではないので幾らでも様々な聴き方を愉しめる……それが Audio の醍醐味なのではないかと思っています。
ただ単に音楽を聴くだけ、或いは生演奏会場の状態を再現して聴くだけでは「音楽の効能」から大きく脱しているものではないのですが、「Audio の効能」と定義するのであれば「音を聴く」……それは「音楽を聴くという目的での理想状態から外れてでも目的の音を聴く」ための行為であり、それによって感動 (満足感) を得ることこそが「Audio の効能」なのではないかと思います。
演奏会場では考えもしない「10kHz 以上の音がどうの」とか「100Hz 以下の音がどうの」なんて事に血道を上げる……正に Audio ならではですよね(^_^;)。
因みに私は楽器音以外の音を録音再生する趣味があり、これは端っから「音楽を聴く」とか「音楽の効能」からは外れていますよね(笑)。
でも「除夜の鐘の音」とか「風鈴の音」「小鳥の囀り」「水音」「鹿威しの音」……どれもこれも音楽に勝るとも劣らず癒やされるんですよね……しかも「金属風鈴の音」と「Glass (或いは陶器) 風鈴の音」との音色の違いを浮き上がらせて確認したりする「Audio の効能」に走る行為も再た、興奮して楽しいものなんです(^_^;)……Maniaって馬鹿ですねぇ(爆)。
素敵な Audio Life を(^_^)/
お礼
回答ありがとうございます。
補足
私が言いたかったことが全部書いてあったので驚きました。 オーディオは生演奏の代替なんかではないっと私は思っていました。 なので、次の質問はもう決まっていました。 「オーディオは生演奏を超えることはないのか?」です。 それで、「超えることはない」っという人がいてもなにも反論する気がないです。 人それぞれだからです。生演奏を目標にしている人は生演奏が一番だと思います。 でも私もオーディオの効能の1番は生演奏よりも感動できることだと思っています。 私はカメラを趣味にはしてないのですが、元上司がオーディオ以上にカメラ好きです。 その中で花火が爆発した瞬間をとらえた写真がありました。 絶対に肉眼では無理です。そんな瞬間見えません。カメラ以外できることではありません。 HALTWO様のおっしゃるように、目で見える以上のものがカメラでは見えると思いました。 私は目があまりよくないです。 なのでTVがハイビジョンになったとき、肉眼でみるよりもなんてきれいなんだっと思いました。 音楽も同じことだと思っています。 ライブで聴こえなかったベースラインがオーディオではクッキリと聴こえる。 それだけでも感動です。 ジャズのライブでも、ジャズバーのライブは何をやっているかわからない、ただただ雰囲気だけで楽しんでいる。一方でホテルのライブは上品すぎてみんな椅子に座って聴いています。オーディオはジャズバーにもホテルにもできると思っています。 HALTWO様のおっしゃるように、なにをどういじってもオリジナルの音源の音は変わることはありません。 オーディオで音を変えているだけです。 オリジナルの音源が気に入らない場合や自分の装置でうまく鳴らない時、もしかしたらオリジナルの音源がおかしいのかもしれないのに、絶対にトンコンやグラフィックイコライザーを使用しないで調整してやろうっと思った結果ケーブルと電源に大金を費やしたのが私です。 イコライザーやトンコンを使用して好きな音できくか、オリジナルを尊重して我慢して聴くかです。我慢なんてしていたら嫌いな音源に手はもう伸びないと思います。 HALTWO様の録音の話もとてもよくわかります。 オーディオは音を楽しむ目的もあると思います。 私は自然音の再生が好きです。 小さいころ親戚の家で、カセットレコーダーで録音して遊んだことがありますが楽しかったです。 小さい子なら誰でもがもっている感覚ではないでしょうか。 マニアはバカ(苦笑)・・・いえいえ子供の心をいつまでももった大人だと思っています(笑) >>「音楽を聴くという目的での理想状態から外れてでも目的の音を聴く」 おっしゃるとおりでなにもいえません。