インフルエンザのようなワクチンの利益は、全体での発症数の減少によって得られます。
よって接種したけど発症した..という個発事例はインフルエンザの効果の否定にはなりません。
インフルエンザのようなワクチンの効果は間接保護作用(児童に接種すると高齢者が死亡しにくくなる)としてでてきます。
例えば、児童の集団接種を中止前後の高齢者の超過死亡を検討した論文 N Engl J Med 2001; 344 : 889 - 96のThe Japanese experience with vaccinating schoolchildren against influenzaでは
米国では,これらの死亡率は時代を越えてほぼ一定であった.これに対して日本の超過死亡率は,学童に対するインフルエンザワクチン接種プログラムの開始に伴って,それまで米国の 3 ~ 4 倍であった死亡率が,米国と同程度にまで低下した.日本の小児への予防接種は,1 年間に約 37,000 ~ 49,000 人の死亡を防止した,あるいは,予防接種を受けた小児 420 人当り約 1 人の死亡を防止した結果となった.その後学童への予防接種が中止されたために,日本の超過死亡率は上昇した.
という結論でした。このような間接保護作用はインフルエンザワクチンのみならず、ロタウイルスや肺炎球菌ワクチン接種でも報告されています。すなわち、児童はインフルエンザなどに罹患しても死なないし、高齢者はワクチンを接種してもなかなか抗体が増加せず発症数が減少しにくいのですが、ワクチンを投与して児童の発症数が減ることで高齢者が罹患して死亡することが少なくなるのです。
まぁ、自分さえよければいいというのなら意味がない..とは言えます。