原子力発電設備の法定耐用年数は16年ですが、これはあくまで税務上の話しです。
原発建設当時は、30年を目安に運用を開始しましたが、稼動後30年近く経過した原発の調査を行ったところ、問題ナシと判断され、延長運用が決定されたと言う流れです。
因みにアメリカでは、最長は60年に設定された原発もあったと記憶してます。
タテマエは様子を見ながら・・と言うところでしょうけど、実態は事故がなければ、ダラダラ延命していたのではないか?と思われます。
古い原発も、かなり大規模な補修,延命措置が行われていますが、あと数年で廃炉する原発に、高額な投資をするとは思えないので、アメリカ並みに、使えそうなら50~60年、運用した可能性は有り得ます。
仮に福島原発も、当初計画通り30年で廃炉してりゃ、こんな事故はなかったかも知れず、残念です。
ただ個人的には、使用年限の問題だけでは無いと考えています。
たとえば福島や美浜など、初期の原発は、実績が無いため、原発炉そのものは事後の原発より、高い安全係数で頑丈に作られているそうです。
従い、ストレステストなどをやれば、「古い原発の方が健全」みたいな、変な結果にもなりかねないです。
その一方では、新しい原発には、新しい耐震技術などが取り入れられています。
地震が警戒される地域で、比較的新しく建設された浜岡原発を、前民主党政権は停止を命じましたけど、こと地震災害においては最強クラスの原発で、東日本大震災でも、福島と浜岡が入れ替わってりゃ、耐久したと思いますよ。
実際にも、浜岡世代の女川原発は、震源地に近いにも関わらず、平気でしたから。
言い換えますと、我が国の原発行政は、耐震強度の設定が何度か引き上げているにも関わらず、古い原発は大して対策もせぬまま、運用することを許したワケで・・・。
すなわち使用年限では無く、「新しい耐震基準を満たさない」などの理由で、古い原発を停止しても良かったのですが、基本「なるべく使う」が優先されてしまっています。
ここら辺りが、欧米などは「ダメなものはダメ!」が徹底していて、古い原発の耐震強度を高める技術か、さもなきゃ廃炉技術なども研究開発されるなど、いずれにせよ進歩や技術革新があるのですが。
日本の場合、それなりに技術的根拠があるにせよ、「ダメなら仕方がない」「目をつぶろう」で、大事故が起きるまで・・いや、大事故が起きてさえ、直ちに対策はしていません。
それがようやく、「40年以上は廃炉」と決まっただけで、廃炉技術は確立してませんし、最終処分場所も決まってません。
そもそも日本の政治システムでは、「来年」までしか考えたり決めたり出来ません。
今般の消費税増税も、社会保障と税の一体改革でしたが、増税の方だけスグにやり、社会保障の方は「2~3年を目処に・・」などばかり。
日本の政治用語で、「2~3年を目処にやる」は、「やらない」とほぼ同義です。
まして数十年単位の廃炉や最終処分など、現在の政治家や高級官僚はくたばってますので、大して真剣に考えてません。
決まったことは、「経産省の天下り先である電力会社へ、カネを落とすこと」ってトコです。
お礼
元は30年だったのですね! 日本の政治・行政は1-2年先までしか考えていないのは痛感しますね。 まあ、日本人が目先のことに拘る(で、過ぎた事はすぐ忘れる)国民性も、そうさせているのかと思います。 いろんな事が、全て先送りの結果、国の借金と言い、原発と言い、 子や孫にどんどんツケが貯まって行きますね。 ありがとうございました。