刈り払い機の持ち方2
日本国内の実情で、山間地が多く傾斜地での作業を基準にすると刈り払い機は左に持って作業するほうが安全だと言う私の結論から、皆さんに考えて頂きたいのです。
超ベテランの方はプライベート?な草刈りでは刈り払い機を左に持って作業されています。
初心者や講習を受けた方などは(総称すると刈り払い作業の経験が少ない方)は右持ちです。
現在は労災の関係上、雇用された場合の作業は右に持って作業しなければいけません。
また、左に持って作業する事は雇用の責任上決してさせない、してはいけない事になっています。
ですが、講習等の指導で言われている右を山側に斜面を等高線に沿って作業するためには刈り払い機を右に持って斜面の草刈り作業をした場合に上体を谷側に傾ける姿勢になってしまいます。
ですから、実際の刈り払い作業では右に刈り払い機を持って作業されると左を山側に斜面を等高線に沿って作業されてしまいます。
国の指導通りの刈りかただと右側に刈り払い機を持って作業をする事は非常に疲れます。
斜面が急になれば尚更、大半の方が左を山側に斜面を等高線に沿って作業されます。
ところが、左に刈り払い機を持って作業される方は講習等の指導で言われている通りの右を山側に斜面を等高線に沿っての作業をほぼ100%の方がされます。
特別な例外を除けば100%なのかも知れません。
そして、左に持たれて作業されている方の姿勢は上体を曲げる事も無くほぼ直立の姿勢です。
(左右どちらも後方から眺めた所感です)
同等の作業をした場合ですが作業の進み具合は必ず左に持たれている方が早く、右に持って作業をする方は作業の進み具合は遅く、疲労の進み具合は作業量が同等であった場合に刈り払い機を右に持って作業されている方のほうが疲れ方が激しいのです。
先ほど述べた谷側に上体を曲げて作業する事が大きく影響していると思われます。
また、枝を刈り払う作業が伴うと腕の振り上げる動作が右側に持っていると左側に持って作業するよりかなり大きくなります。
この事も疲労度を増す要因になっています。
安全性について
キックバックが起こった場合、刈り払い機は右側から後方に振られます。
右に刈り払い機を持ってキックバックを起こした場合、左手がグリップを掴んでいられる強さまでは問題が無いのですが、掴みきれない強さのキックバックを起こした場合だと左手が離れてしまい右手を起点にかなり後方に刈り払い機の刃が振られてきます。(ほぼ、刈り払い機の全長分の距離に到達し、場合によっては後方を通り越してほぼ1回転する事もあります。)
左に持ってキックバックを起こした場合、刈り払い機の竿が作業者の胴体に沿って右側から後方に振られます。その時、右手で竿の前側を持っているため右手は竿に押されながら刈り払い機が旋回します。
そして胴体をトレースしながら後方に旋回するので刈り払い機の刃先の到達距離は後方に行くに従い短くなっていきます。
右手でブロックされている事で体ごと右に捻じられるために右旋回に対して強くブレーキがかかってしまい後方に到達するまでに右に旋回する力が吸収され停止します。
離れて行く物を掴む力と押す力が右手によってさえぎられていて止める力ではどちらが強いのか結果は明らかです。
その事から制御不能になりやすいのは右に持ってキックバックを起こした時なのです。
右手だけ刈り払い機を持ってその長さのまま振り回されたらと考えるとぞっとします。
ですが左に持って作業すれば防げるのです。
よく、「左に持つと危険!」と言われる方が多いです。
ですが、何故危険なのかを説明していただくと「安全なのは右だから左は危険」とか「左に持つと必ず怪我をする」などの理由にならない答えが返ってきます。
更に問い直しても、「左に持つと刃先が足に当たるので危険」「国の講習や指導で左が危険と言っているから」と言った答えなのです。
「左に持つと刃先が足に当たるので危険」と言う事、よく考えて下さい。
どちらにしても首に肩掛けバンドをします。
そして刈り払い機を右に持った場合と左に持った場合にどちらが刃先に近くなるのか?
極端に左右のバランスの違う方ならともかく、普通は変わるはずがありません。
他の件についてOKWAVEで私の今迄の質問で説明しています。
興味があればご覧下さい。
なぜこんな事を言い出したのかですが、熟練した方が雇用される場合に無理やりに右に持って作業すれば労災は適用されますが、不慣れな右持ちだと危険度は増します。
労災が左でも適用されるためには左が右と同等かそれ以上に安全であると認められない限り雇用で右に持たざるを得ません。
原因は、国の安全基準で決められた事がそのまま保険に適用されるからです。
ですから雇用する側の責任上、左で作業されて事故が起きた場合に困るのです。
国の基準はどうして決められたのかと言えば、海外の刈り払い機の安全基準や作業方法・規格を参考に決められたものだと思っています。
ですが根本的に海外と国内の刈り払い機の作業内容が違うのです。
真っ平らな草原を延々と刈り払う作業と斜面の下刈り作業で雑木や蔓も刈り払わなければならない作業とでは同一の刈り払い機であっても安全な持ち方は変わってきます。
国外での刈り払い作業はほぼ平らな草原が主です。
ですから左右どちらで作業しても問題が無く、作業の快適性が優先されて右持ちであり長時間の作業が楽なようにU字タイプのグリップが主流になっています。
また、それに準じた安全装備品も多く流通しています。
ループタイプもありますが、竿が真っ直ぐなものでなく先から4分の1ほどで曲ったもので、用途は女性や子供向けの平地仕様の刈り払い機です。
国外においては日本国内で流通している竿が真っ直ぐなループタイプは限られた物です。
2グリップタイプの真っ直ぐな竿の刈り払い機は更に少なく限られています。
国内の刈り払い機はU字タイプ、ループタイプ、2グリップの3種類で竿が真っ直ぐなものが流通しています。
実際に山間部の傾斜地で下刈作業に使われるのは2グリップ、ループの2種類が主です。
国の指導では、傾斜地においても右にしか持てない国外で平地に特化したU字タイプを使えば安全性の高い作業が出来ると言います。
U字タイプは平地の長時間の作業に向いているものです。
足場に全く不安のない場所で一定の高さを刈り払う事に適したU字タイプですから山間部の傾斜地で枝を払ったり蔓を切るような高さのある刈り払いに不向きな事は判りそうなものですが・・。
先ほども言ったように国内の現状は国外の基準をそのまま日本の基準にしています。
その基準となる右持ちに合わせた装備や規格が輸入されたり国内で作られています。
そして、U字タイプを主にして、ループタイプ・2グリップを準拠して右持ちに指導と講習を行っています。
労災の事と昔から左で刈り払い機を使われてきた方が不慣れな右持ちでは事故のリスクが高くなる問題もあります。
また、それ以上に思っている事は安全に刈り払い機を扱うための正しい持ち方は国内で使用されている真っ直ぐな竿のループタイプ・2グリップは左だと言う事です。
右側に刈り払い機を持って作業される事と比較して動画を御覧になって下さい。
葛城奈海の林業体験 第1回 下草刈り編
https://www.youtube.com/watch?v=Kgm62EsYaiI
1:03から1:10あたりまで
超硬笹笹刈刃SAZ型
https://www.youtube.com/watch?v=P0lp7gpltWk
MIK,除伐もできる草刈りチップソー UK型
https://www.youtube.com/watch?v=k4tH7cU3NsQ
フォーユーの草刈り名人 吉原 in 七山村
https://www.youtube.com/watch?v=gKQNcEc4o6g
参考ですが斜面の作業風景です。
左側に刈り払い機を持ち作業されている状況です。(右側に持たれた事のない方達です)
背丈より随分高い草でかなりの急傾斜で開始から20分ほど経過した状況です。
お礼
ご回答ありがとうございました。