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妊娠中の結核感染の影響とは?- 胎児への影響や出産時の注意点
- 妊娠中の結核感染による胎児への影響について詳しく知りたいです。結核自体が胎児および出産時の新生児に与える影響には、危険な場合と管理すれば大丈夫な場合があり、意見は分かれています。
- 結核感染が胎児に入ると、重度の症状が出る可能性があり、命に関わることもあります。一方で、科学的予防薬を使用すると胎児への影響は少なくなるとされています。
- ただし、結核感染に関する具体的な指針や確率は存在していないため、産婦人科医や専門医との相談が重要です。ご夫婦でしっかり相談し、適切な判断をすることが大切です。
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ご存じかもしれませんが、結核の感染性はガフキーの号数と咳込みの期間によって決まります。ガフキー10号というのは、排菌の程度としては最も強いものですから、この患者さんが有症状であれば、強い感染性をもちます。もしこの患者さんの診断がつく前に感染を防ぐための措置(感染予防のための特殊なマスクをするなど)を講ずることなく接触していたのであれば、今回の感染を疑わざるを得ません。 さて、今回感染したという前提で考えると、発病を予防するための治療(化学予防)が必要です。通常、化学予防にはINH(イソニアジド)という薬剤を半年間服用します。この薬剤は、妊婦に対しても比較的安全に使用することができます。INHの6ヶ月内服で、結核の発病を5-9割減少させるといわれています。 化学予防は、状況が許せば出産後に行うのが望ましいのですが(活動性の肺結核を発病している場合は、直ちに治療を開始しなければなりません。)最近、感染したことが明らかで発病の危険性がある場合は妊娠中でも服薬します。この場合も、できれば妊娠4ヶ月以降の服薬が望ましいといわれていますが、INHについては、催奇形性や胎児に対する有害な報告がないため、明らかな感染があり発病の可能性がある場合は、4ヶ月以内に投与開始してもよいと思います。(ただし妊娠初期には肝機能障害が起こりやすいという報告はあるようです。) 質問を読んでいて、疑問に思うことは、現時点でなぜ中絶を考えなければならないかです。 結核菌が肺胞の中に入り、感染が成立しても発病していない時期は、結核菌は局所に封じ込められており、胎児には何の影響もないはずです。発病すると肺の中に病変を形成し、リンパ節が腫れたりしますが、この状態でも胎児に影響があるとは思われません。この時期には、治療が必要ですが、薬剤の使用も軽い結核であればINHとEB(エタンブトール)の併用、中等症以上ではこれにRFP(リファンピシン)を加えるなど治療の方針は明らかです。 結核を発病して胎児に影響が出るのは、血行性に全身に散布して胎盤に結核感染がおきるなど重症の結核になった場合だけです。(粟粒結核も血行性に多臓器に結核が播種した状態です)中絶を考えるのは、多剤耐性結核を発病し、十分コントロールできないなど特殊な状況のみと考えてよいでしょう。もちろん、発病して排菌がある状態で出産し、子供と接触するのは大変危険ですが、治療を開始し、きちんとしたコントロール状態で出産に望めばまず問題ないと思います。 妊婦さんの結核治療というのは、かなり専門的になりますし、化学予防を開始する時期については、大変難しい問題だと思いますので、お近くの結核病床のある病院での結核専門医を受診され、今後の方針を相談するとともに、服薬開始時期を決められてはどうでしょう。 下記のサイトでも、電子メールで相談に応じてくれます。