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トレス・パクり・盗作 検証サイトは合法でしょうか?
- トレス・パクリ・盗作の検証サイトの合法性を調査します。
- トレースは著作権侵害の可能性が高いため、検証サイトが作られています。
- 画像の引用として認められるか、同一性保持権の侵害になるか、糾弾の意味合いなどについても検討します。
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質問者が選んだベストアンサー
違法か否かが微妙なケースかと思われます。その上で回答させて頂きます。 質問が多い都合上、回答も長文となることをご承知ください。 >●疑問点1 認められるかは微妙です。 引用(著作権法32条1項)と認められる条件は、争いがあります。 最高裁は基準として、(1) 明瞭区別性(引用する側とされる側が明瞭に区別できること)(2) 主従関係(引用される側が従、引用する側が主の関係)(最判昭和55年3月28日)の2つを挙げています。 この基準でサイトが「引用」と認められるか考えると、(1)明瞭区別性はあるとしても、並べるだけの場合に(2)主従関係があるのかは微妙でしょう。その意味で「引用」にならない可能性もあります。 他方で近時の高等裁判所では、「公正な慣行に合致」し、かつ「目的との関係で合理的である」ことを基準とするものがあります。 この基準によると(2)の主従関係がなくても、トレス等の検証・報道という目的との関係で「合理的」なら、ほぼ並べるだけでも「引用」になりえます。また、参考のサイトは画像の比較や出版日の整理という並べるだけ以上のことしています。これらを考えると「引用」と認められる可能性も低くありません。 >●疑問点2 「目的…に照らしやむを得ない」(著作権法20条2項4号)場合は、同一性保持権を侵害しません。 トレス等の検証では、比率変更や反転まで行って初めてトレス等が明らかになる事もあるでしょうから、「やむを得ない」として侵害に当たらないのではないでしょうか。 >●疑問点3 質問者様の言いたい事は、論評のやり方に問題があるということでしょうか? 論評は判例上、公共の利害に関する事実について行いかつ公益目的である場合は、 「人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り」(最判昭和62年4月24日,平成9年9月9日等)論評をしても民事上は損害賠償義務が生じません。仮にトレス等が真実でなくても、真実と信じたことについて「相当な理由」があれば、論評をしても損害賠償義務は生じません。 トレス等の事実の適示はその事実が真実の場合、公共の利害に関する事実で公益目的であれば、民事上刑事上共に違法ではありません。真実でなくても信じたことに「相当な理由」があれば違法でないことも論評と同様です。 >●疑問点4 「批判は実名で行え」という趣旨でしょうか?そういう趣旨であれば、法的には匿名での批判は問題はないと思われます。ただ、名誉棄損にあたる書き込みがある場合に、匿名だとプロバイダに連絡するなどして批判した人を調査する必要がある点では、実名での批判より手間がかかります。 >●疑問点5 (1)著作権侵害 (2)プライバシー侵害、 (3)名誉棄損の3点が問題になりますが、上の2点からは違法にならないでしょう。 (1)については「問い合わせ」はそもそも創作的表現でなく著作物に当たらないと思われます。 (2)のプライバシーについて、平成8年4月26日高松高裁判決(判例タイムズ926号207頁)を参考によれば、侵害というためには「公開されないことを前提」にしている必要があります。あらかじめ「公開する場合があります」と断っている以上、公開されてもプライバシー侵害にはならないのではないでしょうか。 (3)の名誉棄損の点については公開される内容次第なのでなんとも言えません。 ちなみに、道義的倫理的な問題は生じますが、それは法的な問題とは話が異なります。 長々と書いてしまい申し訳ありません。
お礼
回答がつかないので、難しい質問だったかと諦めていました。 手間をかけて回答いただきありがとうございます。 >●疑問点1 やはり判断が難しいところですね。 >●疑問点2 20条2項4号は知りませんでした。勉強になりました。 >●疑問点3 質問文に記したサイトにはなかったのですが、「検証が目的であり、トレスした人を批判する意図はありません」と書いている例があったのです。そう書きつつも明らかにトレスした人への悪意が感じられるし、検証の結果トレスした人が大きな非難を受けることは容易に予想できるので、それは何かの法に触れないのかと思いました。 でも法律上、問題はないようですね。 >●疑問点4 何か問題があったとき、責任の所在が不明なことに問題がないかと思ったのですが、仮に事件になったらプロバイダに問い合わせれば本人は特定できるので問題ないようですね。 >●疑問点5 率直に書きますと、検証サイト作成者は自分への批判(問い合わせ)を減らす目的で「問い合わせを公開する」と書いていると思うのです。SNSを利用するなどして完全な匿名でない人が問い合わせた(批判した)場合、それを公開されることで自分が非難を受ける可能性が出てくるからです。 つまり「公開されたくないが問い合わせる権利」が何らかの法で保護されているのではないかと思いました。