不死身のアキレウスの「評価」
「イーリアス」のアキレウスは不死身です。あのかかと以外は。そういう弱点はもっているにしろほとんど彼は不死身です。その不死身の彼が戦争でやたらと活躍してギリシャ第一の勇士と讃えられる。なんか変ですね。どうせ死なないわけだから活躍してあたりまえなのに、なぜでしょう。もっとも彼が強いのは死なないからではなく戦に強いからです。不死身なのは神の贈り物ですが、その戦士としての強さはほとんど彼が自身で獲得したものでしょう。だからその物語を読んでも彼の強さに不自然さを感じないのです。それはわかるのですがやはり疑問は残る。元々不死身ならその強さを少し割り引いて彼を評価すればいいのにと思うんです。「イーリアス」ではそれが逆に不死身なのは神の贈り物ゆえ彼の評価を逆に高めている印象があります。古代ギリシャでは戦において人間の力はもちろんですが神々の存在がより大きかったのでしょうか。