えぐっちゃった中に破片とかが残っていて、中途半端に傷がふさがって中で化膿したら破傷風や敗血症になって死んじゃう危険が高くなるからです。
それなら、切っちゃえばその切った傷口だけ衛生に気をつければ済むからです。
まあ、なんだかんだいって経験的に「こりゃどのみち機能が回復する見込みがない(歩けなくなるとかそういうこと)から、切ったほうが早い」ということなんでしょうけどね。
ただ現実的には戦場で切断するってことはないですよ。野戦病院などの手術施設が整ったところでやります。そうじゃないと破傷風などのリスクが高いですからね。戦場というか、屋外での大ケガの原則は「ヘタに抜いたりいじったりせずにそのまま搬送する」ですからね。
話が横道にそれますが、日本海の漁師さんで一番恐れられている魚はダツという魚です。サンマみたいな形をしているのですが、口先が鋭く、一直線に泳ぐ習性があるので刺さるんですね。光があると突進する習性があるそうで、なんと漁船の灯りに向かって飛んでくるそうです。そうすると漁師さんにぶっ刺さるらしいんですね。で、そういう事故が起きたら、ダツは絶対に抜かないで、刺さりっぱなしのままで病院に搬送するそうです。
第二次大戦のときでいえば、最も医療体制が整っていた米軍の場合、撃たれたら衛生兵が助けに来るか、その場合じゃないときは近くの仲間が応急処置をするわけですが、ハサミなどで衣服を破いて負傷ヵ所を確認し、そこにサルファ剤をぶっかけてガーゼをあててそのまま包帯でグルグル巻きにして後方に搬送です。ヘタに汚ったない手(戦場では何日も風呂に入らないどころか、ロクに尻も拭いていません。手の衛生さに関しては推して知るべし)で傷口をいじくったらかえって化膿の危険ありです。
米軍の場合は非常に兵隊さんに優しい軍隊なので、負傷兵が痛がって暴れる場合はモルヒネを注射してくれます。ちなみに日本軍の場合は「男なら痛いのは我慢しろ」です(本当)。