事情(無車検、無保険の事実など)を知っているかどうかが一つの焦点になりそうですね。
なお、すべて「所有者が死亡したので、財産すべてを遺族(運転者とは別人)が相続している」と仮定して回答します。
1、遺族も運転者も知っていた
遺族は「無車検の車を他人に貸し」、運転者は「無車検と知って運転」したわけです。
いわば無車検運行の共同正犯です。
どちらも重大な責任は免れません。
2、遺族だけが知っていた
「元所有者または遺族が車検証等を偽造して、あたかも車検が有効であるかのように装い、運転者を欺いて車を貸していた場合」などです。
その場合は運転者は通常の事故の責任だけを負うと解釈できます。
3、運転者だけが知っていた
遺族は全く免許を持っていないなど、車検制度に無知であることも考えられます。
このとき、運転者が無車検を認知した上で借りて事故を起こした場合、全面的に運転者の責任になります。
4、どちらも知らなかった
「死亡した所有者が生前に車検証を偽造するなど、無車検を隠蔽して乗り続けていたために家族も周囲も気づかなかった」などが考えられます。
無車検の責任を問うのは難しい例ですが、当然、通常の事故の責任を双方が負うことになります。
なお、ここで「知らなかった」というのは、すべて「知らなくてもやむを得ない状態であり、かつ、実際に知らなかった」ということです。
検査済標章を見ればわかるのに見落とした、という場合は「過失によって知らなかった」ことになり、責任が加算されるでしょう。