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管楽器のフラット系調性の理由とは?
- 管楽器がフラットの調である理由について検索して調べてみましたが、諸説があります。
- 伝統的にフラット系の調性が使用され続けているという解説がありますが、他にも理由があるのでしょうか。
- また、管楽器が他の移調楽器に合わせる場合が通常なのかについても知りたいです。
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質問者が選んだベストアンサー
私も楽器の歴史には詳しくないので、あくまで想像です。 前提として、「世界共通の標準的なピッチ(音の高さ)」というのは、おそらく19世紀以降、ヨーロッパの地域間の交流や楽器の流通が盛んになって決まったことと思います。それまでは、地域ごとにピッチは異なり、そもそも「フラット系の楽器」という位置付けもなかったと思います。(その土地での「ドレミファ」ということで) 前の回答者さんにもありますが、管楽器のピッチは「まずピッチありき」ではなく、楽器の大きさ(管の長さ)から自然発生的に決まります。大人の手の大きさに合ったアルト・リコーダーは「F管」です。トロンボーンは、人が手を伸ばして届く長さで音程を調節します(普通のテナー・トロンボーンは「B」管)。 管楽器でも、バロック時代の横型フルート(フラウト・トラヴェルソ)は「D」管でした。 ピアノなどの鍵盤を想像すると「C」が特別に見えますが、一般の楽器からすれば「ドレミファ」は所詮相対的なものでしかありません。(管楽器にとって「C」は何ら特別な意味を持たない) さらに、質問者さんの言う「管楽器」は、おそらく軍楽隊の楽器だと思います。ということは、例えばナポレオンのフランス軍がヨーロッパを席巻した19世紀初めごろに、その軍楽隊の管楽器がヨーロッパ中に広まり、それが、「ヨーロッパ共通の標準的なピッチ(音の高さ)」(A=440Hz)が確立してみたらフラット系だった、というような理由なのではないかと思います。 以上から、以下の通りの回答です。 1→「伝統的」とは、上に書いたような「自然発生的に最も合理的な大きさ=ピッチ」で作られた、ということです。よい音が出て、人間にとって最も扱いやすい、というのが最大の条件です。楽器ができた時点で「世界共通の標準的なピッチ(音の高さ)」など存在しなかったので、それで何の問題もありませんでした。 2→「1」と同じ理由。 3→いいえ。もともと弦楽器と一緒に演奏することが多い楽器では、オーボエが「C」、オーボエ・ダモーレが「A」、コールアングレ(イングリッシュ・ホルン)が「F」と、同族にいろいろなピッチの楽器が存在します。また、ホルン(19世紀初めまでは切り替えバルブのないナチュラル・ホルン)は、曲に合わせて管の長さを変えて、その曲に合わせたピッチの楽器を使っていました。
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- A88No8
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こんにちは >1. 仮に伝統的にそうだとしても、改めて例えばCなどで楽器を制作した方が、便宜上いろいろと都合がよいようにおもうのですが、そんなこともないのでしょうか。 ※助言の中の音名は実音ドイツ語で表記します。 中世~ルネッサンス時代には「移調」という概念が無いので必要なしですね(ソプラノ、アルト、テノール、バスという概念のみ)。 バロック時代になると調性音楽が主流になったそうなので、この辺りから調整を考えた楽器を選択しなければならなかったと思われます。 当時の鍵盤楽器以外の楽器といえば、ヴァイオリン、フルート、オーボエ、ファゴット(バッソン)、トロンボーンで楽器の調性はともかく楽譜はソプラノ、アルト、テノール、バスという概念の延長上で実音です。当時これらの楽器にはそれぞれ適した調で作曲されていますね。 このうち実音で楽譜が書かれている管楽器のフルートとオーボエについて細かく見るとC管扱いですが現代の楽器でも運指を見ていくと得意な調はフルートがト長調やニ長調、オーボエがト長調なんですよ。 トロンボーンは何調であってもスライドの長さまで手が届けばスライドを伸ばしたり縮めたりして細かく変えることが出来るので困ることはありません(^^) ファゴットは...吹いたことが無いのでわかんない(;_;)誰か助けて~ 素人ながら少しファゴットの運指を調べてみるとC管扱いだけどC音がアルトリコーダーのように真ん中当たり、最も多くの指を離すとFなので本当はヘ長調が得意なF管かも(^^;? 他の方が「人間が扱えるサイズ」といわれていたように例え楽譜が実音であって現代でC管扱いされている楽器でも構造を細かく見ていくとC管で作られていない状況が見えてくると思います。 トランペットはバロック時代は現代のようなバルブシステムは無く「クラリーノ奏法」という現代のホルンと同じ高い倍音を使って演奏していたため(倍音の音12平均律から見ては飛び飛びなので)必要な調の楽器を用意する必要がありました(楽器も現代楽器に比べて少なくとも2倍は長かった)。 うがった見方をすれば、金管楽器のヴァルブは12平均律の音階演奏のためのあると言うよりも瞬時に調性を切り替えるための装置であるといえるかも知れません。 B管トランペットでいえば、3本のヴァルブの組み合わせでB-A-As-G-Ges-F-E調の7つの管長に瞬時に変更出来るのです。 ホルンのヴァルブも考え方は一緒でF管ホルンは3本のヴァルブの組み合わせでF-E-Es-D-Des-C-H調の7つの管長に瞬時に変更出来るのです。 また最初から現代のような3つのバルブがあったというより楽器の歴史を見ればバルブ無し、バルブ1本付、バルブ2本付と改良されてきたことが判りますよね。また他のバルブ機構を持つ金管楽器も基本的に「出せない音を要求されたから必要なバルブを増やす」考え方で改良されたと思います。 現代のトランペットは、クラリーノ奏法が廃れてしまったため、3本バルブで12平均律を演奏することが目的なんですけど(^^;ヾ トランペットには「演奏上の効果」(音色とか質感とかニュアンスとか)のためにC管トランペットがあってオーケストラではよく使われます(C-H-B-A-As-G-Ges調)。 >2. 一部にそういう楽器もあるらしいのですが、普及しない理由はなんでしょうか。フラット系の方が有利ということでしょうか。 クラリネットは、比較的新しい楽器なのでAs管ソプラニーノ、Es管ソプラニーノ、D管ソプラニーノ、C管ソプラノ、B管ソプラノ、A管ソプラノ、F管アルト(バセットホルン)、Es管アルト、B管バスクラ(A管バスクラもある)、Es管コントラアルト、B管コントラバスが作られましたよ。 オーケストラに作曲者が指定した楽器は、Es管ソプラニーノ、D管ソプラニーノ、C管ソプラノ、B管ソプラノ、A管ソプラノ、バセットホルン、バスクラです。この中で現代の楽器では名手が多いのでシンフォニーなどでC管ソプラノ指定であっても楽器を替える労力よりは#2個の違いしかないので大したことが無いからB管で通してしまえ!という勢いの方が勝っている事情もあります(^^;ヾプロは上手なんですね でもC管指定でばりばり超絶技巧を書かれたらC管を使わしかないですよね_(__;_ あとB管A管の専門家は多いですがEs管ソプラニーノやバスクラになると楽器を持っていてスタンバイ状態の専門家はかなり少ないです。ましてやAs管ソプラニーノ、D管ソプラニーノ...の特殊管になると(;_;)=>特殊管の仕事は、少ないから生活出来ない >3. 管楽器が入る曲は、管楽器に他の移調楽器が合わせるのが通常なのでしょうか。 管楽器にかかわらず「主役の楽器に伴奏の周りが合わせる」のが通常だと思いまする(^.^)
お礼
沢山の分量のご回答いただきまして、そのお手間と掛けていただいた時間を 考えますと、誠に恐縮、感謝の極みです。ありがとうございました。 しかしながら私の知識が浅く全てをすぐに理解は出来ませんでした。 もうすこし勉強をしてからまた読み返したいと思います。 素人が思うよりも、各管楽器には、さらにキー別の大きさが沢山あるものなんですね。 バンド系の音楽で言うと、ブルースハープなんかと近い感覚でしょうか。 キーによって取り替えたりしているようです。 さらに、 「この中で現代の楽器では名手が多いのでシンフォニーなどでC管ソプラノ指定であっても楽器を替える労力よりは#2個の違いしかないので大したことが無いからB管で通してしまえ!という勢いの方が勝っている事情もあります(^^;ヾプロは上手なんですね」 という部分で大分実情が分かったような気がします。 とにかく沢山の文章、ありがとうございました。また何かあったらお助けくださいませ。
- qsp114
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管楽器の生い立ちがずっと尾を引いているのです。 最初の楽器はどんな調子でもよさそうなモノですが、これは後の人の感想であって、最初の楽器が作れるた時は、「大きさ」の問題で調子がきまりました。人間の手足のサイズでラクに持って操作できる物体の大きさが大体決まるわけです。その結果、ビーフラやエフに落ち着きました。 一旦実用的に使える楽器が出てくれば、それ用の曲も作られたりするので、その曲をその後ずっと演奏するためにも「調子」は変えられません。
お礼
ありがとうございます。管楽器は調と大きさがダイレクトに関係するのですね。 しかしそれにしてもフラットとナチュラルでは半音差ですから、 比率からして大きさはそんなに代わらないような気もしますがどうでしょうか。
お礼
わかりやすく納得のいくご回答いただきまして、誠にありがとうございます。 なるほど、各楽器の誕生と発展よりも標準ピッチの発生の方が遅いという歴史があるのですね。 そしてたまたま管楽器群は、標準ピッチに当てはめるとフラット系が多かった。 軍楽として発達した可能性もあると。 凄く良くわかりました。なんか音楽の聴き方にも影響が出そうです。感謝です。