献血で確実に起こり得ることは『鉄欠乏性貧血』ですね。
根拠をお知らせします。
貧血チェックの項目には、
赤血球数 女性基準値 380~500 男性基準値 430~570
ヘモグロビン 女性基準値 11.5~15g/dl 男性基準値 13.5~17.5 g/dl
ヘマトクリット 女性基準値 34.8~45% 男性基準値 39.7~52.4%
血清鉄 女性基準値 40~180μ/dl 男性基準値 50~200μ/dl
ここまでは一般的に採血される貧血チェックの項目です
次に、99%採血されない初診の貧血項目
フェリチン 女性基準値 4~64.2 ng/ml 男性基準値 18.6~261 ng/ml
どうしてこんなに小難しいことを数値で示したかと云うと、生理出血のある女性は生理の無い男性よりも値が低い、と云うことをお知らせしたかったのです。
全て女性基準値<男性基準値で10~20%の差になっていますね。一番大きく差がでたのは『フェリチン』です。フェリチン値は貯蔵鉄の量を示していて、医学の教科書ではヒトの体内には1g (1,000mg) の貯蔵鉄が存在する、と書かれています。
では健康と思われる女性の貯蔵鉄の量を計算してみますね。フェリチン1 ng/ml は、7mgの貯蔵鉄を示しますから、女性の平均貯蔵鉄の量は4×7=28mg~64.2×7=449.4mg ← つまり医学の教科書に記されている1gよりも、0.97g~0.5gも少ない、と云うことです。この状態は、健康な女性と理解されていても「潜在性鉄欠乏性貧血」にあたります。
女性の生理出血の量は毎月60mlとされていて、その中に30mgの鉄が含まれると計算されています。つまり健康な女性は毎月、生理で60ccの血液が失われるだけで、健康な男性よりもこれほどにも貧血側に移行してしまうと云うことです。
では献血はどれほどの血液を奪われるのでしょう? 200cc? 400cc? 一回の献血で、3回~6回分の生理出血の量に相当します。400cc献血を年4回繰り返すと、本来の生理12~3回に加えて、年39回来たことになります。
私は体調不良を訴える方たちを病院に案内して、血液検査の結果を見せて頂くことが多い。その中で、特に女性に注目してみると体調不良の内容は「不定愁訴」であることが多いです。
それは次のような症状ですが、殆どの項目が当て嵌まる方と、僅か数項目しか当て嵌まらない方と様々です。
『朝起きられない・何をするのも面倒くさい・イライラ・ヒステリー・神経過敏・気まぐれ・無気力・不安感・鬱・精神錯乱・不眠、等々の精神・神経症状』
『肩凝り・腰痛・その他の関節痛・頭痛・易疲労・下痢・便秘・風邪を曳き易い・脚や腕にアザが出来やすい・冷え性・眩暈・立ち眩み・膀胱炎・抜け毛が多い・口の周りの吹き出物・皮膚のかさつき・等々の身体症状』
これらは不定愁訴といわれて、圧倒的に女性に多く、ヘモグロビン 12前後、 ヘマトクリット 39前後、 血清鉄 70程度の方が多く、医師の診断では『貧血なし』です。ところがフェリチンは10~25程度の方が圧倒的に多い。
そうした方々に、動物性の鉄やタンパク栄養などを補っていただき、相当期間を経た後に再検査して頂くと、症状が改善されただけではなく血液検査の数値も健康値に近づいているのが観察できます。
質問者さんは『血液を抜くことで知らない間に体に悪影響を及ぼす」ことを問題にしています』とのことでしたので、詳しく説明させて頂きました。
お礼
ありがとうございます。