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相棒2のあのシーンは正当防衛が成立するんでしょうか
Aが警視庁の会議室に入り込み、12人に銃を突きつけた Aが7年前の事件の真相を知っていると気づいた12人はモールス信号でAを殺すための計画を練った その後しばらくしてSATや機動隊による突入が行われた それと同時に11人はAを羽交い絞めにして取り押さえ、残りの一人はAが持っていた拳銃を奪い、Aを射殺した 主人公の右京はこの件に関して正当防衛は成立しないとしました ですが、wikipediaでは逮捕監禁罪の被害者がこの犯人を殺した場合、正当防衛が成立するとあります やはり右京の考えは間違っていてwikipediaの記述のほうが正しいんでしょうか 法律の知識はあまりないので教えてほしいです
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正当防衛は「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした」場合に成立します(刑法36条1項)。 これを解釈すると,正当防衛が成立するためには, (1) 不正の侵害の存在 (2) 侵害の急迫性 (3) 防衛の意思 (4) 防衛行為の必要性・相当性 という4つの要件全てを充足する必要があります。 まず,犯人は銃を以て監禁行為に及んでいる訳ですから, 「(1) 不正の侵害の存在」は文句なく認められます。 次に,「(2) 侵害の急迫性」ですが, これは(1)の侵害が現に存在し,切迫していることをいい, 将来の侵害や過去の侵害(終了した侵害)に対する防衛行為は認められません。 Wikipediaで逮捕監禁罪に対して正当防衛が成立すると書かれているのは, 特にこの要件との関係です(刑法学における継続犯と即成犯・状態犯との違い)。 別に逮捕監禁行為に対してなら,いついかなる場合においても, 正当防衛が認められることを記述しているわけではありません。 映画のケースだと,現に監禁中であることはもちろん(実行行為が継続している), 銃を使って強要しているわけですから,「(2) 侵害の急迫性」も認められそうです。 ※本件では侵害を予期していたとの事情も認められないです。 次に,「(3) 防衛の意思」ですが, たとえ,防衛行為者に攻撃の意図があったとしても, それだけで防衛の意思は否定されません。 攻撃の意図が併存する場合であっても, 客観的に正当防衛状況が存在し, 自らの行為が防衛行為としての有効性を発揮することを認識している以上, 防衛の意思あり,ということになるでしょう。 最後に,「(4) 防衛行為の必要性・相当性」です。 まず防衛行為の必要性とは,当該防衛行為が, 侵害から法益を守るために役に立つと見込まれたかどうかの問題です。 今回のケースだと,犯人を射殺すれば侵害を終了させることができるわけですから, 必要性は充たされるでしょう。 次に,防衛行為の相当性とは,当該防衛行為が, 行為時にとり得る手段として,やり過ぎでなかったかどうか,という問題です。 今回はこれが充たされないのではないでしょうか。 もみ合いの最中,防衛行為者が過失によって犯人を射殺した場合は別論, 犯人の銃を自らの支配下に置いた状況が存在するなら, 銃を奪って皆で取り押さえれば済むわけで, あえてその銃を使って犯人を射殺するというのは, 手段として過剰,という考えがあり得るところです。 ということで,その様に考えるなら, あの事案では過剰防衛(刑法36条2項)ということになるでしょう。 ですから, >この件に関して正当防衛は成立しない という結論も,その意味では正しいです(なお,過剰防衛は犯罪です)。 ただ,ドラマの流れ的に,右京さんは, 犯人の口封じのために積極的加害意思に基づいて行為に及んだ点を問題とされている (おそらくは「防衛の意思」の問題として)ようですが, この点を理由に正当防衛を否定するのは,上述の様に難しいと思います。 というわけで,今回の事例は完全な犯罪行為ということはできないが, 少なくとも過剰防衛にはなりそうだ,という感じです。 なお,過剰防衛は刑を「任意的に」減免できるという制度です。 今回のように防衛の意思が否定しきれず, なおかつ侵害の事前予期が認められないケースでも, やはり行為時点では,この機に乗じて犯人を始末してしまおうという意図が, 行為の中核を貫いていたという点に着目すれば, 任意的減免を認めるべきではない(完全な責任を問う),という結論もあり得るでしょう。 なお,以上は,意図的に殺害に加担した3名についての検討であり, その他飛びかかった人たちについてはまた検討が異なるでしょう。
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- _julius
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#2です。 >防衛の意思自体が満たされないのではないと思っていたんですが、 >積極的に攻撃しようと思っていても、 >それだけでは欠くことにならないんですね そうです。 防衛の意思が否定されるのは, 積極的加害意思が内心を100%占めていた時で, つまりは正当防衛状況の認識すら欠く場合ですから, 現実には偶然防衛のケースぐらいしかありません。 ※偶然防衛の例:ドア向こうの相手を射殺したら,偶然相手も自分を殺そうとしていた。 偶然防衛を除いて,防衛の意思が否定される事例は, 実務上,かなり程度の高い量的過剰防衛の場合に限定されます。 この場合,まず,量的過剰であることを理由に,正当防衛の成立が否定されます。 次に,36条2項の適用があるか。 まず,違法減少の点ですが,「かなり程度の高い」量的過剰であれば, それに見合う違法減少はない,とされます。 また,専ら攻撃の意思で,かなり過剰に反撃した場合には, (正当防衛状況の認識があったとしても)もはや内心において「パニックになっていたから仕方なかった」 とは言えないですから,責任減少も認められません。 というわけで,違法減少も責任減少もないので, 36条2項の適用がありません。 これは「防衛行為がかなりの程度過剰であった」ことから導かれる結論で, 少しやり過ぎただけの過剰防衛とは事案が違います。 あの映画の場合であれば,違法減少も責任減少もない, とまでは言えないでしょう,というのが私の感覚です。 ちなみに,取り押さえた時点で「侵害が終了するから正当防衛にならない」という考えは, 確かに,あなたの質問文 >11人はAを羽交い絞めにして取り押さえ だとその通りでしょう。でもあの映画だと,もみ合いになっただけで, 完全に制圧し,取り押さえたわけではなかったですよね。 ただ,少なくとも銃は防衛行為者の支配下にあったと見得るので, その意味で過剰防衛だと思います。
お礼
>でもあの映画だと,もみ合いになっただけで, 完全に制圧し,取り押さえたわけではなかったですよね。 ああ、うっかりしてました 確かに入ってくるまではもみ合ってましたね
- neKo_deux
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> ですが、wikipediaでは逮捕監禁罪の被害者がこの犯人を殺した場合、正当防衛が成立するとあります Wikipediaの記事は、 逮捕・監禁罪 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%AE%E6%8D%95%E3%83%BB%E7%9B%A3%E7%A6%81%E7%BD%AA | 従って、逮捕・監禁中の被害者の反撃は正当防衛となり得る。 であって、「~反撃は(必ず、100%)正当防衛となる。」なんかとは違います。 「~得る。」は、可能性を提示しているのみですので、 うる【得る】の意味 - 国語辞書 - goo辞書 http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/21083/m0u/%E5%BE%97%E3%82%8B/ | 2 動詞の連用形に付いて、…することができる、可能である、の意を表す。 ・事前にモールス信号での計画を行う余地が無い。 ・咄嗟に飛び掛って、銃を奪おうとした拍子に暴発して犯人が死んでしまった。 なんかの条件であれば、疑いなく正当防衛って判断になると思います。 が、ドラマでは質問のような条件で、犯人を射殺する事無く取り押さえる事が十分に可能であったって前提、あるいは実際に犯人を取り押さえて銃を奪った後での射殺であれば、正当防衛が成立しない、あるいは過剰防衛になるって判断になるって事だと思います。
お礼
ありがとうございます wikipediaの記述を誤解していました 全てのケースで正当防衛が成立すると勘違いしておりました
- seble
- ベストアンサー率27% (4041/14683)
wikiの解説を拡大解釈してるだけですね。 >逮捕監禁罪の被害者がこの犯人を殺した場合 全ての場合に当てはまるハズがありません。 犯人が逮捕されて懲役が終了して出所したところを殺してもOK、みたいに拡大解釈しているだけの事です。 法律の知識の問題ではなく、文章を正確・厳密に読み取れるかどうかの問題です。
お礼
確かに言われてみればそうですね
- hekiyu
- ベストアンサー率32% (7193/21843)
正当防衛は無理です。 取り押さえた時点で、急迫不正の侵害は 終了しています。 だから取り押さえた後で、射殺するという のは正当防衛でも、過剰防衛でもありません。 ただの殺人です。 WIKのどの記述を見て、正当防衛になると 言っているのでしょうか? 一般論として、法律に関してはWIKは、そんなに 間違った事は書いていませんよ。
お礼
やはり取り押さえた後で射殺してしまうと成立しなくなってしまうんですね 参考になりました
- mrst48
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現実に起きた事案でも 考え方は、人それぞれであって、 ドラマの中での右京さんの考えと、ウィキの記述が違っているのは 当然と言えば当然なのでは。 またドラマだと、ある程度脚色しているのではないでしょうか。 なので、どちらかが、間違っているとは、言えないと思います。 実際の事案で、正当防衛ではなく過剰なものだとして 傷害とか、殺人になると言われれば 裁判で決着付けるとかの、行動に出る人もいると思うし、 この場合には、同じような事案があっても 同じものはひとつもないので、裁判でその事案ごとに 判断されるものでは、ないでしょうか。
お礼
ふむふむ 人によって考えが違うんですね
- kgei
- ベストアンサー率61% (230/376)
No.1です。 質問されている相棒は,ちょっと観た記憶がないので,あくまで質問文の記載だけから回答しています(もし,相棒の第何シーズンの第何話か補足してもらえると,突っ込んだ回答ができるかもしれません)。 最初の回答では,「急迫性」の欠如と書きましたが,No.2さんの書かれていたところを読むと,「防衛の意思」の欠如を理由として,正当防衛を否定する方が妥当かもしれません。 私が想定しているのは,監禁された12人は銃で脅されてはいるが,Aは直ちに12人を殺すつもりではない,といった状況です。 あくまで質問文からすると,12人はAを殺害する計画を練っていたのですから,監禁状態を利用して積極的な殺害意図を実現させようとしたものであって,「防衛の意思」は否定されます。 最終的には,ドラマを実際に観ないとわかりません(笑)。 正当防衛(過剰防衛)が成立するという意見も間違いとは思いませんが,私は正当防衛(過剰防衛)否定に1票です。
補足
ドラマの方ではなく、相棒の劇場版2のほうです
- kgei
- ベストアンサー率61% (230/376)
最近の相棒はみていませんが・・・ 質問文を読む限り、右京さんが正しく、正当防衛は成立しません。 理由は2つ。 1つめは、12人は積極的に殺害意図を有していたこと。学問的には「急迫性」の要件の欠如になります。 2つめは、「11人はAを羽交い絞めにして取り押さえ」とありますから、既にAの犯罪行為は終了していたのでAを射殺する行為は「防衛行為」ではない。あるいは、防衛行為ではあるが「過剰防衛」である。 こんなところでしょうか。 PS 昔の相棒は良く観ていました。
お礼
ありがとうございます 個人的には過剰防衛ではないのかと思っていたのですが、その通りだったんですね
お礼
ありがとうございます 防衛の意思自体が満たされないのではないと思っていたんですが、積極的に攻撃しようと思っていても、それだけでは欠くことにならないんですね でも、取り押さえた段階で済むので、過剰防衛ということになるんですね 参考なりました