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ラーメン。
ラーメンに、注文・希望をつけるとしたら、どんな事ですか。 また、どんなラーメンがあったらいいと思いますか。
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ラーメン。 ラーメンに、注文・希望をつけるとしたら、どんな事ですか。 また、どんなラーメンがあったらいいと思いますか。 ――――――――――――――――――――― 通天閣のじゃんじゃん横町から少し離れた路地をはいったところに天国ラーメンという店があった。私と中田はその店の常連だったが、一年ほど前からラーメンがうまくなり、テレビで美味しいラーメン店という紹介をされてからは繁盛していけなくなっていた。刑事という職業柄時間節約という哀しい癖がついてしまい、仕事が終わっても行列に並んでまでラーメンを食べるという気は起こらなかったのだ。しかしいくら繁盛していても夏の昼どきを過ぎた頃は並ぶ客もいなかった。夏という暑い季節はラーメンにとっては天敵だった。 以前は仕事を終えてから店を覗いていたのだが、たまたま近所で連続殺人事件が起きたので、その捜査の帰りに腹ごしらえのつもりで店に入った。長年の刑事生活で陰惨な事件をよく見ており、少々のことでは食欲は落ちる物ではなかった。 カウンターだけの小さな店はお客が十人も入ればいっぱいになり、そのラーメンをずるずるすする音を聞くだけでも、額から汗がしたたりそうだった。 店の奥まったところにあるクーラーは冷風をがんがん吹き出しており、玄関のガラス戸はしっとりと濡れて雫が垂れていた。 この店の店主は太っており頬の肉がだぶって、そのためか目はやけに細い。大きな鼻は上を向いて唇はリップクリームでも塗っているかのようにぬらぬらだった。どこか豚を思わせる風貌だったが、本人はそれを気にしているのか豚ということばを小耳に挟むと、それがお客同士のたわいない会話であっても、細い目をぎろりと向けるのだった。 「それにしてもこの店のラーメンは、どうしてこんなにうまいんや……」お客のつぶやきが私の耳に入った。たしかに目の前にあるラーメンは極上の味がしていた。両手でしか持ちきれないような大きな器にこってりと白濁したスープと固めの麺、それに具はもやしというシンプルなものだったが、麺はしこしこと歯ごたえがあり、スープはまったりしていた。 私はこの後は警察署内での仕事になるので、汗をかくこともないだろうと器のスープを最後の一滴まで飲んだが、そのときに豚骨では出し得ないようなまろやかな味が舌の上で転がったような気がした。 棚にあるテレビでニュースが始まり先ほどの事件を報道し始めた。この事件はかなり特殊で猟奇的な犯罪であった。人骨が持ち去られるというバラバラ殺人事件なのだ。店主のだぶった頬が痙攣している。私には彼が笑っているように思えた。 店を出てから私が振り返ると店主がこちらをじっと見ており、視線が合った。 中田はそれには気が付いていないようで、爪楊枝で歯を掃除しながら言った。 「大島さん、あそこのラーメンがおいしい理由わかりますか」 中田に言われて、私は鋭くなっていた視線を戻した。 「いいや、わからないな」 「大手の食品メーカの研究陣が肩入れしたからですよ、なんでもアンテナショップとして力を入れているらしいです。以前ひとりでラーメンを食べにいったときにテレビ局の取材が来ていましてね、あのおやじさんが取材陣にそんなことをいっていました。でも、秘密にして欲しいとのことですよ。そうしないとアンテナショップにならないとかで」 「ほう……」私は短い返事をすると、カンカン照りの太陽を仰いで舌打ちをした。 その後、天国ラーメン店の店主が交通事故に遭い店を閉めてからは、殺人事件は起こらないようになった。そのころには私は警察を定年退職していて、何か商売でもしょうかと思っていた。 それには自分が好きなラーメンがよいかもしれない。 あの天国ラーメン店のような味付けにすれば流行るに違いない。 私が「まほろば」というラーメン店を初めてから、再び人骨が持ち去られる猟奇的な犯罪がメディアを賑わせるようになった。
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冷やし中華至上主義です。 冬でも食べたいです。 是非誰か冷やし中華専門店を!!
お礼
そう言えば、冷やし中華専門店ってホントないですね。 相当な冷やし中華好きが伝わってきます。 タレはどのようなものが好きなんでしょうか(笑)。 ご回答ありがとうございました。
- EFA15EL
- ベストアンサー率37% (2657/7006)
美味しくて毒が無けりゃ何でもあり。 敢えて注文をつけるなら、「ほぼ日本料理のくせにいつまで中国づらしてやがんだ」です。
お礼
確かに(笑)。 ほんとそうですね。 天津飯などはもっと典型的ですけどね。 ご回答ありがとうございました。
- 戦艦みかさ(@mikasa1905)
- ベストアンサー率14% (675/4694)
つけ麺のスープが冷めない工夫をして欲しい。
お礼
そうですね! 私はつけ麺をあまり食べませんが、その最たる理由がコレです。 初めの一口二口は良いのですが、後はぬるくなってしまって。 冷めない工夫があれば、もっと食べる機会も多くなると思うのですが。 ご回答ありがとうございました。
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お礼
通天閣のじゃんじゃん横町から少し離れた路地をはいったところに天国ラーメンという店があった。私と中田はその店の常連だったが、一年ほど前からラーメンがうまくなり、テレビで美味しいラーメン店という紹介をされてからは繁盛していけなくなっていた。刑事という職業柄時間節約という哀しい癖がついてしまい、仕事が終わっても行列に並んでまでラーメンを食べるという気は起こらなかったのだ。しかしいくら繁盛していても夏の昼どきを過ぎた頃は並ぶ客もいなかった。夏という暑い季節はラーメンにとっては天敵だったのだ。 以前は仕事を終えてから店を覗いていたのだが、たまたま近所で連続殺人事件が起きたので、その捜査の帰りに腹ごしらえのつもりで店に入った。長年の刑事生活で陰惨な事件をよく見ており、少々のことでは食欲は落ちる物ではなかった。 カウンターだけの小さな店はお客が十人も入ればいっぱいになり、そのラーメンをずるずるすする音を聞くだけでも、額から汗がしたたりそうだった。 店の奥まったところにあるクーラーは冷風をがんがん吹き出しており、玄関のガラス戸はしっとりと濡れて雫が垂れていた。 この店の主は太っており頬の肉がだぶって、そのためか目はやけに細い。大きな鼻は上を向いて唇はリップクリームでも塗っているかのようにぬらぬらだった。どこか豚を思わせる風貌だったが、本人はそれを気にしているのか豚ということばを小耳に挟むと、それがお客同士のたわいない会話であっても、細い目をぎろりと向けるのだった。 「それにしてもこの店のラーメンは、どうしてこんなにうまいんや……」お客のつぶやきが私の耳に入った。たしかに目の前にあるラーメンは極上の味がする。両手でしか持ちきれないような大きな器にこってりと白濁したスープと固めの麺、それに具はもやしというシンプルなものだったが、麺はしこしこと歯ごたえがあり、スープはまったりしていた。 私はこの後、警察署内での仕事になるので、汗をかくこともないだろうと器のスープを最後の一滴まで飲んだが、そのときに豚骨では出し得ないようなまろやかな味が舌の上で転がったような気がした。 棚にあるテレビでニュースが始まり、先ほどの事件を報道し始めた。かなり特殊で猟奇的な犯罪で、人骨が持ち去られるというバラバラ殺人事件なのだ。ふと見ると店主のだぶった頬が痙攣している。私には彼が笑っているように思えた。 店を出てから私が振り返ると店主がこちらをじっと見ており、視線が合った。中田はそれには気が付いていないようで、爪楊枝で歯を掃除しながら言った。 「大島さん、あそこのラーメンがおいしい理由わかりますか」 中田に言われて、私は鋭くなっていた視線を戻した。 「いいや、わからないな」 「大手の食品メーカの研究陣が肩入れしたからですよ、なんでもアンテナショップとして力を入れているらしいです。以前ひとりでラーメンを食べにいったときにテレビ局の取材が来ていましてね、あのおやじさんが取材陣にそんなことをいっていました。でも、秘密にして欲しいとのことですよ。そうしないとアンテナショップにならないとかで」 「ほう……」私は短い返事をすると、カンカン照りの太陽を仰いで舌打ちをした。 ---------------------------- 数年後。 天国ラーメンの店主が失踪する事件があったらしい。 私とは管轄が違うので詳しくは知らなかったが、数日後に近くの河原で水死体で発見されたようだ。 不思議とその後は、例の猟奇殺人は起きなくなっていた。 あれだけ世間を賑わせたのに不思議なことがあるものだ・・・と、人々は噂し合った。 噂のほとぼりが冷めたころ、ある街角に一軒のラーメン屋がオープンした。 名前は「まほろば」・・・私が付けた名前だ。 私は定年後、ラーメン屋を開くのが夢だった。 自分の舌が納得できる味を追求するためには、残りの人生を掛けてみるのも良いと思ったからだ。 そしてそれは実を成し、店は大いに繁盛している。 ふと店内のTVに目をやると、ニュースで連日の猟奇殺人事件を報道していた。 特定の人間を狙った事件が相次いでおり、数年前の猟奇殺人と手口が非常に似ているといった内容だった。 「そりゃあそうだろうよ」 私は誰に聞こえるともなくつぶやいていた。 「太ったヤツほどよい出汁がでるからな・・・」 こんなんどうですか?